「年忘れ!山愚痴屋感謝祭」@サザンシアター

山口晃さんの『すゞしろ日記 弐』刊行記念トークイベントに行ってきました。タイトルが「年忘れ!山愚痴屋感謝祭」

すゞしろ日記 弐

すゞしろ日記 弐


『すゞしろ日記』は職場に届く定期刊行物のなかで唯一楽しみにしている「up」の巻末に連載されてるエッセイ漫画です。壱巻が出版されたときはサイン本欲しさに「羽鳥書店まつり」(社長の蔵書1万冊を大放出する古本イベントだったような記憶)に行った。ついでに古本買って、おまけの甘酒飲んだ。会場のお寺の梅をめでながら甘酒おいしかった。

って思い出話はおいといて。初めて見る生の山口さんは…「うわぁ…うごきが『すゞしろ』のまんま!あれって写実的だったんだ…」というものです(笑)なんかねえコミカルなのよ…小動物ちっくというか…愛らしい。そして穏やかに囁くように毒のあることをおっしゃる。…いい!作品の緻密さとユーモアの共存はご本人が反映されてるんだね、と妙に納得しました。

前半は障子紙を2巻垂らして、観客から募った3つのお題を融合させて即興画を描くというもの。ひとつ目は「込み上げるパッション」「5千万円の使い道」と「美人のカミさん」、ふたつ目は「くまもん」「馬」「お・も・て・な・し」がお題でした。絵の構想を膨らませているあいだも軽妙にお話しながら、お客さんを笑わせながら…そして筆で(すごく描きづらい安い筆持ってきちゃったとのこと)さらさらと、あの山口さんの画風で描いていくわけです。きゃああ…かっこええ…でも出来上がった絵があ…いま思い出しても「ぶはっ」と吹き出してしまうような面白い絵。

後半は今年の仕事ぶりを振り返るトーク。でもやはり「描きながら」が落ち着くみたいで、ホワイトボードに、ときに意味不明な四角をたくさん描きながら(笑)、仕事にまつわるお話をしてくださいました。

そのなかで、とある展覧会の感想を「浴びるように、つまんなかったです」「滝に打たれるように、つまんなかった」と表現したのだけど、言葉の感覚がとってもおもしろいし、「絵解き」などでもわかるけど言葉から連想するイメージも独特。小林秀雄賞も受賞した『ヘンな日本美術史』も読まないと。


ヘンな日本美術史

ヘンな日本美術史


映画「かぐや姫」のことを「2時間あるからもっとエピソードとか追加されてるのかなあと思ったら、1から10まで”まんまかぐや姫”です。でも絵の力があるんですよーおもしろいの。フランスとかでは受けそうだけど、でも日本だと物語の筋が大事なんですよね、絵の見せかたには反応しにくい」「美術の授業で絵を描くという実技はするけど、絵の鑑賞、読み方は勉強しないせいかな」と残念そうでした。

それ以外にも2時間たっぷりと楽しいお話してくださいました。そのあとのサイン会もひとりひとり丁寧に対応してくださって、感激しました。再来年は新作での展覧会を予定してるとのことで、来年は制作に軸を置くとのこと。楽しみです。