読了

『板尾日記6』を読んだ。この巻は娘さんを1歳11ヶ月で亡くしてしまった約半年後から1周忌を迎えた一年の記録なので、5巻同様読み進めるのはかなり勇気がいる。しかも地震津波で多くの人が犠牲になった今読んでいると、知らずに息を止めていて、無意識にできることもおぼつかないような混乱に陥る。板尾さんは何年も前から日記を刊行していて、そのなかで娘さんが亡くなったときも苦しいなか毎日言葉をつづり、発表した。大切なひとを喪ってしまうことの、どうしようもなく埋められない穴が、今回被災して残された家族のみなさんひとりひとりにも同じように存在するだろう。板尾さんの言葉は淡々としている。けれど、この言葉がでるまでにはどんな苦しさがあるのだろう。言葉にしたあとには、どんな悲しみがあるのだろう。わたしには言葉を受け止めて、想像することしかできない。大晦日の最後の一文に「来年は、人生はもっと冗談だと思って生きようと思います。」とある。こんなに悲しい言葉があるんだろうか。一見前向きで力強い言葉にも思えるけれど、冗談と思ってなければやりきれないことが生きていると多すぎる。