戯曲以外の本

この半年くらいはシェイクスピア修行やNTライブの予習のために戯曲を読むことが多く、本を読むことも減ってしまった。

今年前半で戯曲以外で読んだものは、1月に大好きな高野秀行さんの新刊が出たので、その「恋するソマリア」と、出版記念トークの前に「謎の独立国家ソマリランド」も再読した。

恋するソマリア

恋するソマリア

謎の独立国家ソマリランド

謎の独立国家ソマリランド


去年映画を見た「あなたを抱きしめる日まで」の同タイトル原作ルポ。映画では生き別れた息子を探すアイルランド出身の母が主人公であったが、原作のルポは息子の人生を丁寧に追ったもので、映画と原作が二つでひとつになる、対になる作品だった。よく原作を越える映画はないということがあるけれど、この場合は視点がまったく異なるので、映画を見たらぜひ本も読んでほしい。1980〜90年代前半のアメリカの政治の中枢、しかも共和党に身を置いたゲイの男性が、どういう空気に囲まれていたかとてもよくわかる。

あなたを抱きしめる日まで (集英社文庫)

あなたを抱きしめる日まで (集英社文庫)



BBCでドラマ化された「カジュアルベイカンシー」に、大好きな俳優であるローリー・キニアさんが出演するというので、その原作本を読んだ。アマゾンのレビューは酷評の嵐であったが、わたしは「ハリーポッター」を1行も読んだことがないし、映画も見たことがないので、先入観がなかったせいかとても面白く読んだ。
経済格差が人間にどう影響していくか、鋭い観察眼で容赦なくシビアに書いていると思った。狭い世界で比べあい、ちょっとした優越感を満たしていく住民たちの描写など、意地が悪いほど滑稽なのだ。
ドラマはところどころ原作とは設定を変えているよう。日本でも放送されるといいな。

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 1 (講談社文庫)

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 1 (講談社文庫)

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 2 (講談社文庫)

カジュアル・ベイカンシー 突然の空席 2 (講談社文庫)