エトワール・ガラ2014 プログラムB

★第1部

・「眠れる森の美女」よりハイライト
振付:ルドルフ・ヌレエフ、音楽:P.I.チャイコフスキー
出演:《ローズ・アダジオ》ドロテ・ジルベール、バンジャマン・ペッシュ、アレクサンドル・リアブコ、エルヴェ・モロー、福田昂平(Kバレエ カンパニー)
《ローズ・アダジオのヴァリエーション》ローラ・エケ
《第2幕の王子のヴァリエーション》オードリック・ベザール
《第3幕のグラン・パ・ド・ドゥ》アマンディーヌ・アルビッソン&マチュー・ガニオ

・「デジール」
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:アレクサンドル・スクリャービン、出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ、ピアノ:金子三勇士

・「モペイ」
振付:マルコ・ゲッケ、音楽:C.P.E. バッハ、出演:フリーデマン・フォーゲル 

・「ル・パルク」より “解放のパ・ド・ドゥ”
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ、音楽:W.A.モーツァルト、出演:イザベル・シアラヴォラ&バンジャマン・ペッシュ

・「こうもり」より
振付:ローラン・プティ、音楽:ヨハン・.シュトラウスⅡ世、出演:アマンディーヌ・アルビッソン&エルヴェ・モロー


★第二部

・「牧神の午後」
振付:ヴァーツラフ・ニジンスキー、音楽:クロード・ドビュッシー、出演:バンジャマン・ペッシュ&ローラ・エケ 

・「牧神の午後」
振付:ジェローム・ロビンズ、音楽:クロード・ドビュッシー、出演:アマンディーヌ・アルビッソン&エルヴェ・モロー


★第三部

・「シェリ
振付:ローラン・プティ、音楽:フランシス・プーランク、出演:イザベル・シアラヴォラ&マチュー・ガニオ

・「お気に召すまま」
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:W.A.モーツァルト、出演:シルヴィア・アッツォーニ&アレクサンドル・リアブコ

・「アモヴェオ」
振付:バンジャマン・ミルピエ、音楽:フィリップ・グラス、出演:ドロテ・ジルベール&オードリック・ベザール

・「椿姫」より“黒のパ・ド・ドゥ”
振付:ジョン・ノイマイヤー、音楽:フレデリック・ショパン、出演:イザベル・シアラヴォラ&フリーデマン・フォーゲル、ピアノ:金子三勇士


Bプロのほうがパリオペダンサーたちの個性が生かされていて、満足感が高かったです。

Aプロで「エトワールである意味がわからない」とまで思ったアマンディーヌ、眠りはやはり及第点までいきませんでしたが白鳥よりはよかったです。「こうもり」は監獄シーンのヌーディきらきらレオタードで、表情にコケティッシュな雰囲気がよくでてました。ロビンズの「牧神」もエルヴェと二人で。バレエスタジオのセットで、客席側が鏡という体(てい)なので、二人が鏡越しに視線を交わし合ってるのを見るのだけど、このとき初めてアマンディーヌをきれいだと思いました。若くて、技術も表現力も総じて物足りないのだけど、作品によっては大いに化ける可能性が感じられて、期待が持てました。

エルヴェは美形で表現力もあり、とても人気があるダンサーなのは知っているのに、なんというのか「みんなのイケメンと、わたしのなかのイケメンは違うの…とキムタク好きにならない」みたいな心情が働いて(ややこしい、そして例えが古い)、3月にアルマン見てもピクらなかったのですが、こうもりの羽根はちょっと萌えたよね…。

ドロテのローズアダージョはバランスが長くて4人目の王子の手を取らないという(笑)、産休明けとは信じ難い完璧なコントロール。さすがっすね!と声かけたいくらいのwチャキチャキした踊りではあるけど、明るさと気品があるのでオーロラ姫らしい。ドロテの古典全幕見てみたいなあと思いました。「アモヴェオ」はミルピエ振付のコンテンポラリー、こちらでも身体の細部までコントロールされた動きで、見ていて気持ちがいい。惚れ惚れします。


イザベルとペッシュの「ル・パルク」見られるとはね!うれしい。イザベルは官能的なシーンも上っ面でなく愛をベースに踊れる人なんだなあ…と感じました。「椿姫」のマルグリットも、3月の来日公演が思い出されますね…しかし、パートナーシップが…マチューもペッシュもエルヴェもリアブコも相手役をしたことがあるだろうに、なぜフォーゲル…。あと前半(黒ドレスを脱ぐ前)のピアノ伴奏がほんのすこし(ほんとに少し)ピッチが遅くて、二人が踊りづらそうに見えました。普段バレエ伴奏してない方だと、ダンサーの動きを見ちゃうと気を使いすぎて遅れるのかなあ?気の所為かもしれませんが。。。

イザベルとマチューの「シェリ」はとてもよかった!高嶺の花イザベルに全力で愛を捧げるワンコマチュー(笑)というストーリーが…この二人のバランス最高です。「天井桟敷の人々」を思い出しました。

マチューの衣装が昔の紳士の下着姿でして…上下白、長袖ヘンリーネックTにトランクス、白ソックスというね…これで最後のカーテンコールも出ましたのでね…可愛すぎるだろ、反則だわ…。「眠り」の王子もよかったです。


ペッシュのニジンスキー「牧神」!!神様特有の童心、奔放さを嫌味なく、でもしっかり変態で踊りきる(笑)、あぁ本物の表現者だなあ…!カーテンコールでも作品の特徴である横移動で登場、退出するときには表情も作って笑いを誘ってました。
先月「バレエ・リュス展」で「牧神」衣装を見たばかりというのもあり、本当に楽しかった!続けてロビンズの「牧神」をかけて、違いを見せるというのもアカデミックな手法だと思いました。プロデュース力にも平伏。


パリオペの強烈な個性が輝くなかでも、やはりわたしの心をグワシっと掴んだのは今日もハンブルクバレエの二人、シルヴィアとサーシャでした。はあ…感嘆の溜息ばかりで言葉が出ません。音楽と一体化してるし、振付も一体化してるし、そしてお互いの身体が融合してる。見てるだけで、わたしの意識を違うところへ連れていってくれる。そういう心の飛躍って、芸術だけが成せる業です。圧倒的でした。「お気に召すまま」のラブラブっぷりには、叫びだしたいくらいに可愛かった…。有り難いものを見せてくれて、感謝するしかない。