パリ・オペラ座バレエ「椿姫」3/21@東京文化会館

★3/21キャスト

マルグリット:イザベル・シアラヴォラ、アルマン:マチュー・ガニオ
デュヴァル氏(アルマンの父):アンドレイ・クレム(ゲスト・アーティスト)

マノン・レスコー:エヴ・グリンツテイン、デ・グリュー:クリストフ・デュケンヌ

プリュダンス:ヴァランティーヌ・コラサント、ガストン:ヴァンサン・シャイエ、オランピア:シャルロット・ランソン、公爵:ローラン・ノヴィ、N伯爵:アドリアン・ボデ、ナニーナ(マルグリットの侍女):クリスティーヌ・ペルツェー
マノンの求婚者:アレクシス・ルノー、ファビアン・レヴィヨン、ヤン・サイズ
マルグリットの求婚者:アルノー・ドレフェス、アントワーヌ・キルシェール、フランチェスコ・ヴァンタッジオ

アルマン父とマルグリットのシーンで滂沱…!!前日のお父さんは足元がおぼつかない感じで…見てて不安になったのですが、この日のクレムさんは立ち姿もかっこいいし、動きもよかったので、マルグリットが身を切るように決心してアルマンと別れることに承諾したつらさが切実に伝わってきました。

この日は2階の正面席だったので、広く舞台を見渡しました。舞台転換が鮮やか、時系列の交差が発揮されるノイマイヤー作品は、「引き」の目でも楽しいですね。
アルマンとお父さんのシーンでは必ずオークション会場であることを示す看板が掲げられ、いまが現在であることを表し、その看板をくるりと返すとヴァリテ座の演目「マノン・レスコー」になって回想シーンであることがわかります。そのほかセットチェンジも競売人たちがソファや調度品を運ぶのですが、そういう物語の流れを途切れさせない仕掛けは本当にうまいなあと思います。

そのせいなのか?この日は「どこで拍手をしていいかわからない」という感じの、焦った拍手がところどころで起きて、しかも1階のS・A席から聞こえるので驚きました。チケット代2万円以上出すのに予習してらっしゃらない…?とちょっとイジワルなことも考えてしまいましたが、普段古典を見慣れてるような方だと拍手のタイミングは難しい作品ではあるなと思いました。お芝居の色が濃いので「流れ」や「間」がとても大事。古典みたいにソロヴァリエーションが終わったら拍手、みたいなわかりやすさがないもの。

イザベルのマルグリットはアルマンといるときの表情に少女らしさがあって、それがすごく良かったです。素顔を見せられる相手であることが分かる。他の人といるときには出さない表情をするので白PDDのときの「一瞬の幸せ」が余計に切なかった。他のシーンではけっこう気が強い(N伯爵やオランピアをペシっと音が出るくらい平手打ちするし…w)んですけどね。