新国立劇場バレエ トリプルビル

新国立劇場バレエの『暗闇から解き放たれて/大フーガ/シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ』のトリプルビル初日(18日)を見てきました。

これがとてもよくて、あぁなんで!なんでパリオペ来日公演とかぶってるんだよおおおおお!!!!じゃなければもう一度か二度は通いたいところだよ…しょぼん…とするくらいクオリティは高いのに空席が目だって、悲しかったです。

★暗闇から解き放たれて(Escaping the Weight of Darkness)

振付:ジェシカ・ラング、音楽:オーラヴル・アルナルズ、ニルス・フラーム、ジョッシュ・クレイマー、ジョン・メトカーフ、照明:ニコール・ピアース、衣裳:山田いずみ
出演:小野絢子、長田佳世、福岡雄大、八幡顕光、米沢 唯、貝川鐵夫、竹田仁美、若生 愛、小柴富久修

ジェシカ・ラングが新国立バレエのために振付けた新作。真っ暗なところに雲のような繭のような丸っこい白色の照明が浮かぶ。なんでこんなに暗いんだろう…白色照明が目に痛いくらいコントラストがあるんだろう?と思ってたら、音楽が録音でオケピに照明がないのでした。オケピの明るさがあったら台無しだと思うので納得。この雲または繭照明はその後、女性ダンサーの衣装(チュチュの部分)にもなって登場し、これが可愛かったです。

ポワントを履いていたのもあり、ネオクラシック系というのでしょうか(よく知らないのに言ってみる)?静かで浮遊感のある作品でした。舞台奥は幕を途中までしか上げず、ダンサーの脚だけが見えるようになってるのですが、女性ダンサー6人くらいで同じ動きをしたときにとても効果的で美しかった。均整がとれてシンクロ率が高いダンサーが多いバレエ団だから活きるなあ。

米沢さんと組んでた貝川さんが目を引いた。去年の「DANCE to the Future」で貝川さんが振付けた作品がとても印象に残っていて、しかしご本人はそのとき踊らなかったし、カーテンコールで登場した貝川さんは正直似合ってるとも言えないスーツをお召しになっていたからダンサーなのかさえ分からない感じでしたが(失礼すぎる)、今回初めて踊っているのを拝見したら、背があるから身体のシルエットがきれいだし、踊りも丁寧な印象。ちょっとこれから注目したいと思います…。

ステージにいるダンサーすべてがテクニックも素晴らしく、振付と音楽と照明と舞台装置と共鳴しあってて、見ていて気持ちがよかったです。そしてちょっと違うけど、このダンサーたちにノイマイヤーのSpring and Fallとかマーラー第3交響曲とか踊ってほしい…と思ってしまった。ドタバタしないSpring and Fall見たい…


★大フーガ(Grosse Fuge)

振付・衣装:ハンス・ファン・マーネン、音楽:ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェン、照明:ジャン・ホフストラ、指揮:アレクセイ・バクラン
出演:長田佳世、本島美和、湯川麻美子、米沢 唯、菅野英男、福田圭吾、古川和則、輪島拓也

衣装が面白い。女性はボディスーツだし、男性は上半身裸に袴のようなスカートのようなボトム。照明の色も凝ってました。が、振付が音楽に合っていないような…こういう振付ならば現代的な音楽のほうがハマるのではないかしら…なんて思ったり。というわけで上演時間が長く感じてしまったのでした。
あとでバレエ先輩にお話聞いたら、もう少し笑い、ユーモアを出した方が生きる作品ではないかとのこと。なるほどなあ。


★Symphony in Three Movements

振付:ジョージ・バランシン、音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー、指揮:アレクセイ・バクラン
出演:長田佳世、小野絢子、米沢 唯、八幡顕光、福岡雄大、菅野英男
第二楽章パ・ド・ドゥ:小野絢子、福岡雄大

わたしの目当てはこれでした。去年NYCBを見てバランシン作品が一気に身近に感じられるようになり(それまではよくわからんと苦手意識があった)、新国立でもやるというので楽しみにしていたのです〜。去年バレエリュスでのアポロもよかったし。
期待通り、素晴らしかったです。皆さんとにかく技術レベルが高い!とくに小野さんの完璧に身体をコントロールする技量には感動しました。スピード感があるのに、手先の動きなどはたおやかなんですよね。NYCBのダンサーはけっこうがっちりと筋肉ある人が多くて、だからこそのスピード感なのかなと思いましたが、小野さんはとても細いのに…相当なインナーマッスルをお持ちなのかな?惚れ惚れする踊りでした。
あと米沢さんは発光するようなエネルギーに満ちていて魅力的な踊りをしますね!大好きです。今日のすべての作品で主要な役で踊りとおしていて、その体力にも驚きます。あと男性では八幡さんの跳躍にも驚きました。登場シーンの滞空時間!あと名前は挙げませんでしたが、本当に皆さん素晴らしかったのですよー。


前回の白鳥は不完全燃焼でしたが、今回は大満足。去年のバレエリュスも楽しかったし、やはりダンサーのレベルも高いことがわかりました。あとオーケストラでイライラしなくていいのが一番嬉しい…(某会館での来日公演だと金管を恨みたくなる事案が数知れないので)。来月は「ファスター/カルミナブラーナ」ですね。カルミナブラーナはあの合唱も聴けるから本当に楽しみです!