パリ・オペラ座バレエ「ドン・キホーテ」@東京文化会館

初日3/13の感想です。

以下配役表から引用

音楽:ルートヴィク・ミンクス、編曲:ジョン・ランチベリー、振付・演出:ルドルフ・ヌレエフマリウス・プティパ版による)、指揮:ケヴィン・ローズ、装置:アレクサンドル・ベリヤエフ、衣裳:エレナ・リヴキナ、照明:フィリップ・アルバリック、演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
◆主な配役◆
キトリ(ドルシネア):アリス・ルナヴァン、バジリオ:カール・パケット
エスパーダ:クリストフ・デュケンヌ、街の踊り子:ローラ・エッケ
キトリの友人:クリステル・グラニエ、ミリアム・カミオンカ
ドン・キホーテ:ギョーム・シャルロー、サンチョ・パンサ:シモン・ヴァラストロ、ガマーシュ:マロリー・ゴディオン、ロレンツォ、キトリの父:パスカル・オーバン
ドリアードの女王:アマンディーヌ・アルビッソン、キューピッド:シャルリーヌ・ジザンダネ、ブライズメイド:セウン・パク、ジプシーの首領:アレクシス・サラミット

当初キトリはリュドミラ・パリエロでしたが、怪我により昨年末エトワールになったばかりのアリス・ルナヴァンに変更。リュドミラのキトリが見たかったのと、アリスはコンテンポラリーが得意との話をよく目にしたので古典はどうなのかな?と失礼ながらあまり期待せずにいたのですが、これがまったく間違いでしたよ〜。

アリスのキトリは、一幕は溌剌とエネルギーに満ち溢れてて、やきもち焼きも嫌味がなく、すごく素直な可愛さがあるキトリ。二幕からちょっとずつ女性らしさが増して、三幕の結婚式あたりでは女王の風格さえ漂わせる気品がありました。超小顔なので10頭身くらいに見えるし、踊ってるとどんどん存在感が増してくる。すっかりファンになって帰ってきました!いつか、得意といわれるコンテンポラリー作品でも見たい〜〜。

そしてもう一人の目当てであるバジリオのカールさんですが、登場のシーンから振りつけすっぽ抜けてしまって「あれ?」となり、一幕の踊りはなんだか精彩を欠いた。もちろん演技派カールさんは細かいお芝居たくさんしてて、この作品はマイムも多いし、コメディだから踊りだけでない。表情やしぐさがとても大事だから、その部分では満足。でもお疲れなのかしら??30後半で踊る演目じゃないか…とか余計な心配までした休憩時間(笑)が、しかし!三幕では見違えるほど踊れてましたよ!普通はバテてくる時間帯にますます踊れてましたよ!そうよ、これよ!なぜ信じてあげなかったのわたし…!とエトワール捕まえて失礼にもほどがありましたと脳内で涙をぬぐいながら謝罪。

カールさんは陽気でチャラチャラしてる役が本当に似合うね!キトリの友人にちょっかいだしてるとこや、その彼女たちのスカートに隠れてキトリのお父さん盗み見てるのとか超かわいいっす。もちろんキトリとのやりとりも、幼馴染の妹みたいな女の子をかわいくて可愛くて仕方ないっす!て感じに接してるのもツボだ。三幕の狂言自殺シーンもチュバっと投げキッスしてからバタリと死んだふり、死んでるのにキトリの胸を揉む(笑)憎めない!あとドンキは男性の衣装も次々変わるのが楽しいですね〜。どれもこれもかっこいいのよ…眼福。

そうだ、キトリの一幕の衣装も実際にみると美しかった。DVDだと赤にピンクとオレンジが入ってて毒々しい感じがしてたのだけど、繊細なディテールでした。

印象に残ったダンサーは、キューピッド役のシャルリーヌ!もうほんと天使!きらきら輝いてる!可愛らしいのに品がある。昨年の「天井桟敷」でも見てて、いいなと思ったダンサーですが、そのときよりもっと存在感がありました。二幕の夢の国シーンてDVD鑑賞時わたしも必ず寝てしまうところなんだけど(まさに夢シーン・笑)、シャルリーヌのおかげで楽しめました。今日ほどこの場面をちゃんと見た日はなかったw

それだけに同じシーンで登場したドリアードの女王役アマンディーヌは表情も踊りも硬く(ちょっと失敗しちゃったところもあるけど、そんな失敗より踊り全体として。足音も大きいし…)、あまりいいところがなかった。先週エトワールになったばかりとのことですが、シャルリーヌがスジェで、ええ??て混乱する。得意な演目だとまた違う印象になるんでしょうね。次見るときはそういう役だといいな。

あとはストリートダンサー役のローラ・エケとエスパーダのデュケンヌが安定した美しい踊りでした。間違いがないね。しみじみしちゃう。セウン・パクも軽やかでよかった。足音しないの。オニール八菜さんは艶やかな容姿でコールドでもすぐわかりますね。

コメディ部門はなんといってもガマーシュ役のゴディオンとサンチョ役のヴァラストロ。ふたりとも面白メイクをしてても美形が隠しきれないわけですが(笑)、豊かな表情と仕草で笑わせてくれました。ズラがステージおきざりになったまま進行したときには笑いを堪えるの必死でしたが、キリがいいところでコールドの女性が拾ってくれて命拾いしましたw

DVD見てると、パリオペのドンキは長いよね…ちょっと飽きる…となってたのですが、やはり舞台は違いますね!キトリの扇子が「ザっ」と開く音だけでも痺れる!かっこいいし、楽しい。