生き心地の良い町

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある

生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある

全国でも極めて自殺率の低い「自殺“最”希少地域」である徳島県海部町(現海陽町)を調査、考察した博士論文を元に、平易な言葉でつづった本。調査していたとき、その後のこぼれ話なども楽しく読んだ。

積極的に「いろんな人がいたほうがよい」と思ってる、出自や肩書きよりも人物像を評価する、「どうせわたしなんて」と思わない、隣人に関心はあるが監視はしない、やれないことがあるなら早めに言う、などの「リスク管理」がなぜかできあがっていた町。

「絆」という互助意識が強ければ住みやすいかっていうとそうでもないとか、「幸せだと感じている」人が多ければ自殺率が低いってわけでもないなど、目から鱗な発見もありました。

本の中でいちばん興味引かれたエピソードは、いじめやネット上の炎上がエスカレートするときと、そうならないときの重要な役割として「水を差す人」「空気を読まない人」の存在があげられていたこと。いじめが深刻にならない集団には友人や同僚などの悪口や愚痴などネガティブな話題で盛り上がったときに、決まって話の流れを変える人がいるそうで、集団は均質であるよりも異分子がいたほうが「健全」であるのはこういう可能性があるから、という話がおもしろかった。

自分の趣味や考え方が違う人をどう認識するかというのはわたしの大きなテーマです。夫があまりにもわたしの予想外の自由人なのでずいぶん慣れたし、訓練されたと自負してるけど(笑)