マシュー・ボーン「ドリアン・グレイ」UKキャスト楽日

たった5日間、8公演(UK・JPキャスト4回ずつ)は非常にもったいない!というのが観終わった直後に思ったことです。オーチャードのような広い会場でなく(床を這うような振付が多いので、傾斜のゆるすぎるオーチャードだと本当に見にくく、あぁいう振付だってわかってて招聘してるのになんで会場をここにしたのか。下手側席から上手のマットレス方向を見るとちょうど前の席の方と丸かぶりでほとんど見えなかった。見えなかった…って書いてて泣ける。見切れ席とかでないのに。S席なのに。例のお尻のシーンだって、客席がなぜ笑ってるのかわからなかったくらい)、もう少しコンパクトで演者の息遣いが聞こえてくるようなハコで1ヶ月くらいやってくれたら、何度でも観にいったことでしょう。より深く作品に入りこむことができるし、公演を重ねるうちに演者もどんどん変化していくだろうから、それも楽しみたかったなあ…なんて贅沢なことを考えてしまう。

動きが完成されてるから、何度も観たいって思えるのと、あとドリアンの部屋の絵とか香水の広告ポスターの変化とか繰り返し観て謎解きしたい。音楽だって、しょっぱなバレエ「眠れる森の美女」で(これは目覚ましの音なんだけど)、わたしはすごく驚いたのでした。照明も凝ってる。そういう散りばめられたピースを拾い上げて味わいたい…。今回は1回しか観られなかったので、消化不良気味です。

日本のキャストとコラボレーションということで、UKキャスト4人(ドリアン役のリチャード・ウィンザー、バジル役のクリストファー・マーニー、ドッペルゲンガー役のアダム・マスケル、エスペランザ役の鎌田真梨)が他の日本キャストと踊ってるわけですが…これがちょっと無理があった。ダブルキャスト自体はよい企画だと思う。役者が変われば舞台の印象は変わるし、それこそ繰り返し観る楽しみになる。けど、ならばUKキャストはNew Adventuresのカンパニーで見たかったよ…。言っても仕方ないことだってわかってるけれど、前半は群舞のなかにいて後半どんどん存在感を現すはずのドッペルゲンガーが、もう登場から目立ってるじゃんかぁぁ(涙)アダム、妖艶でしたよね(この表現であってるのかどうか?)

バジル役のクリストファーはシリル役をやっていたそうで、うん、それは似合うことでしょう。シリルはバレエダンサーの役だから、きちんとバレエを踊れる方にやってほしかったです。クリスは本当に踊りがきれいでね。。クリスのロミオみたかったわ。バジルでももちろんかっこうよかった。

スワンDVDを観まくってたので鎌田さんの踊りを生で見られたのも嬉しかったな。お人形のようなルックスでキレッキレの踊り。ほんとにかっこよかった!

ドリアン役のリチャードの演技力は圧巻でした。ウェイターのときはまだ自信がなく、しかし華やかな世界に興味がある(それをドッペルゲンガー役のアダムの踊りで表現されてる)、バジルに見出されて写真を撮られている過程で開放されていく、その表情の変化!かっこいい!!そして自信に満ちて恋をしてるきの表情から破滅に向かっていく後半の焦燥感、飢餓感のようなもの。彼は終始すごい存在感で舞台を支配してて、さすがはこの役を作り上げたダンサーだと思いました。

それなのに舞台を降りればとても気さくで優しい好青年で、ファン一人ひとりの名前を聞いて、名前入りでサインしてくれましたよ。写真も快く応じてくださってね(涙)
今度来日公演するときはぜひNew Adventuresで!眠れる森の美女が観たいです!!



演出補であるエタ・マーフィット(NAの「くるみ割り人形」DVDのクララ役)とリチャード・ウィンザー