パリ・オペラ座「天井桟敷の人々」@東京文化会館 6/1昼

はい3回目〜。…日常生活に支障が出る頃合です…。

だいたいライブなど行くと、脳内処理がオーバーヒートして全く眠れなくなるのですが、連日公演を観ると、観てる間はものすごい集中力なので、一日のなかに休憩時間は皆無、ほんとに…疲れます。

バチスト:マチュー・ガニオ、ガランス:イザベル・シアラヴォラ、フレデリックルメートル:アレッシオ・カルボネ、ラスネール:バンジャマン・ペッシュ、ナタリー:レティシア・ピュジョル、モントレー伯爵:クリストファー・デュケーヌ

アレッシオ推し(笑)の知人が楽しみにしていた公演だったのですが(その方はフランスでの初演を観ており大感動したそうで、来日公演決まったときから心待ちにしていたそうな)、どうしても抜けられない仕事が入り、わたしが引き取ることに。

アレッシオといえば、ジェローム・ロビンスのトリビュート公演DVDで「The Concert」の夫役がいちばん印象にあります。お芝居上手そうだし、なんと言ってもルメートルの初演キャストだし、有り難く拝見いたしますっ。という気分で引き受けました。(今月イモータルも行ったから、パリオペと合わせてチケット代5万出してるけど…)と思いつつもね、(パリ行くより安い、がんばれわたし)と思いなおしてね…。ええ、そのときはね、3回目になるなんて知らずにね(遠い目)。

うん、観てよかったです!ガランスはやっぱりイザベルだよ!!この方の脚は本当にすごいですよね。今日は3列目で観ましたが、スっと上がった脚が「場」を変えるというか、バチストよりもわたしのほうが先にガランスに恋してしまいそうでした(笑)

で、初日でピンとこなかったマチューも、近くで見たら表情がとてもよかったよ〜。素人のわたしには舞台の遠さを汲み取ることが難しいのかもねえ。

今回は群舞の動きにも目がいくようになり、わあみんな細かくお芝居してるんだなあ、とたいそう感激しました。と同時に目が猛烈に足りない!!という苦悩…あと10個くらい目が欲しい(笑)これ、すべてをジョゼがディレクションしてるのかと思うと尊敬。尊敬のあまり、今日のオテロはジョゼのそばで観ました(と言うのは嘘で、席が3列目だとさすがにオテロ観やすい場所は空いてないので、たまたまですがw)ブラックデニム、白シャツ、ジャケットで格好良かったです。脚の長さが尋常じゃない。

(続き)

アレッシオのルメートルは小技が効いてました〜。ライオン着ぐるみでムーンウォークしたり(2幕始まる前にもコレで登場して、ジョゼに蹴られてたwwカールは至って真面目に練習してましたけどねw)、エルミーヌ夫人から下宿の鍵を貰ったあと帽子から花を出す手品を披露して夫人に贈ったり、いちばん驚いたのは幕間劇「オテロ」でデズモデーナを絞め殺す前にキスしたこと!「オテロってそういうややこしさある!」と深く納得できた。愛憎が紙一重で、その瞬間の感情が常に入れ替わる様を端的に表現した最期のキスだなあと思いました。う〜ん、アレッシオやりおる。

カールの色男ルメートルぶりは生まれついた美貌のためにそうなるしかなかったって感じ(ほら、周りが放っておかないから)(笑)、アレッシオの色男ぶりは基本に「人を喜ばせたい」があって、それ突き詰めていくとあぁなっちゃったって感じがしました(笑)アレッシオはバレエも軽やかで素敵でしたねえ。

で、舞踏会の音楽とそのときの振付が大好き!テンションあがるわあ。が、ここから先のドラマは本当に悲しい。バレエ版のほうが映画よりも「女の嫉妬」が強く押し出されてる印象。ガランスがタイプの違った男性たちに猛烈に愛されると同時に、女性からの嫉妬からは逃れられない。強い愛情と悪意に雁字がらめになっているガランスのイメージが浮かぶ。他人からの強い感情って、それが愛情であっても呪いにも似たものに変化することあるから。

別れのシーンでマチューバチストが泣いてて、その顔思い出すと今も泣けてくる…。ガランスが去っていくことだけが悲しいのじゃなく、独りで苦しんでる彼女を助けられなかったこと(ガランスも助けて欲しいとは思ってないから断絶してるのよね)、そして永遠に失うんだろうと予感してバチストは泣いてる気がして。

この作品、初めて見たときは映画を忠実に再現しつつ、実験的な表現・演出を提示してる意欲作ねえ〜なんて軽く感じていたけれど、いま時間を置いてから改めて思い出すと、じわじわと切ない気持ちになってね、とてもドラマを大事にしてたんだなあと思いました。

出会えてよかったし、3回観る機会に恵まれたことにも感謝。古典ではない、こういう新作を日本に居ながらにして鑑賞できるってすごいことだなあと思いましたよ。企画してくださった方々に心底感謝したいです。あと公演チケットを買って鑑賞して、長きに渡って支えてきたバレエファンがあってこそ、来日公演が実現してるんだものね。夢のような3日間でした。