マニュエル・ルグリの新しき世界ⅢAプロ

プログラム(公式サイトより引用)

カルメン」 より 振付:ダヴィデ・ボンバナ、音楽:ジョルジュ・ビゼーほか、ダンサー:ニーナ・ポラコワ、キリル・クルラーエフ

「ウィンド・アンド・クラウド」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード、ダンサー:パトリック・ド・バナ

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」 振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー、ダンサー:マリア・ヤコヴレワ、デニス・チェリェヴィチコ

「スプリング・アンド・フォール」 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アントニン・ドヴォルザーク、ダンサー:シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ、小出領子、後藤晴雄、東京バレエ団

「こうもり」 より 振付:ローラン・プティ 音楽:ヨハン・シュトラウス2世、ダンサー:マリア・ヤコヴレワ、マニュエル・ルグリ、矢島まい

「トリアーナ」振付:ヘレナ・マーティン 音楽:イサーク・アルベニス、ダンサー:ヘレナ・マーティン

「バッハ組曲第3番」 より 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:ヨハン・セバスティアン・バッハ、ダンサー:マリア・ヤコヴレワ、キリル・クルラーエフ

「赤い涙」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:カイハン・カルホール、アリ・バーラミ・ファード、ダンサー:秋山珠子、ディモ・キリーロフ・ミレフ、パトリック・ド・バナ

ハムレット」 より 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:マイケル・ティペット、ダンサー:シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

ルートヴィヒ2世‐白鳥の王」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:リヒャルト・ワーグナー、ダンサー:マリア・ヤコヴレワ、ニーナ・ポラコワ、マニュエル・ルグリ


ご縁があり、先週の水曜日にマニュエル・ルグリのガラ公演を観てきました。なんと最前列…!素人がほんとにすみませんすみません。あんなに身近で踊る人の体を観ると、見てるだけなのに自分の体が熱くなりました。みぞおちの辺りが、かあっとなる。

マニュエル・ルグリは21歳でスジェから飛び級でエトワールになって以来、退団まで20数年パリ・オペラ座の大看板だった方。若いバレエダンサーのインタビューなど読んでもルグリを尊敬、敬愛してる方がたくさんいて、踊り手としても指導者としても大きな存在なんだなあと伝わります。

で、そろそろ50歳だし、ルグリの「こうもり」見られるのも最後かもしれないよ〜とのことで行ってきました。本当に、観に行けてよかった!DVDで見てたルグリは気品のある王子様だったのですけど、うってかわって「こうもり」のウルリックはコミカルな役で、表情ひとつでププっと笑ってしまう。だけど手足の動きに華があって、ターンしたとき汗がキラキラ〜と散ってですね…少女マンガのように背景に花が星が…わたしには見えましたよ…す、ステキ…ぽわわわわあ〜ん。
またわたしの「ステキおじさまリスト」に一人名前が増えました。

今回わたしがもっとも心惹かれたのはパトリック・ド・バナ。ドイツ×ナイジェリアの血を受けているので褐色かかった肌で、左肩におおきくタトゥーをいれている。それが最高に似合ってるの!超かっこいい体!立ってるだけの人に感動してしまった。背中の筋肉など惚れ惚れしました。田中泯さんの舞踏を身近で拝見したときと似た印象を受けた。あの方も立ち姿ステキだものね。

自身で振付けた「ウィンド・アンド・クラウド」の衣装は上半身は裸、下はオーガンジーの丈の長いスカートで、動くたびにそのオーガンジーが煙のように広がって、夜明け前、薄暗い湖面から霧が立ち込めていくような、そんな踊りだった。「赤い涙」もよかった。わたしはこういう土着な踊りも大好き。

ただ、最後にルグリが踊った「ルートヴィヒ2世」はバナの振付とルグリの身体言語が違うなあって思った。クラシック的舞踏で輝く体と、アニミズム的舞踏で輝く体は歴然と違いがあり、それは語ることにおいての言葉の役割。いいとか悪いとかでなく、ただ「違う」ということ。

作品としていちばん好きだったのはノイマイヤーの「スプリング・アンド・フォール」!これは動きが作用、連続、波紋、伝導して、果てのない幾何学模様を描いているようなダンスで、心から楽しかったーー。シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコもよかった。日本人ダンサーの踊りがちょっとドタバタ感が出てしまっていたのが残念。コールドバレエが違うとまた印象かわって、もっともっと楽しい作品なんだろうなと思った。

いろんな作品が見られるガラ公演は初めてでしたけれど、ダンサーの特徴を掴みやすいし、クラシックもコンテンポラリーも知ることができて楽しいです。