イラン式料理本

やっと観にいけた!

モハマド・シルワーニ監督の身近にいる女性(妻、母、妹、叔母、義理の母、母の友人、友人の母)が料理を作る過程を映像に収め、イランの伝統的な男女の価値観の変化、家族のあり方の移り変わりをあぶりだしたドキュメント。

まあ、映画というにはちょっと頼りない構成・技術だと思うし、日本で言うなら1時間程度のテレビで深夜に流れてるドキュメントに近いかなあ。気楽に見られるという意味では土日の昼間でもいいけど。

登場人物がみなそれぞれ個性的で面白い!とくに伝統料理を披露してくれた義母が最高のキャラクターだった。主婦歴35年、子供5人を育て上げ、新婚当時は夫の親兄弟とも同居して、たいそう嫌な思いもしてたらしいが、いまや年老いた姑とは毒舌で冗談を言い合い、姑も姑で「はいはい、もうあなたに従うわよ」と言うほど、愛憎越えて「家族」になってるのが会話から伝わってくる。伝統料理のクフテ(たまご入り巨大バクダン)、ドルマ(ぶどうの葉で包んだ米を蒸したもの)もおいしそうだった!

監督のお母さんたちが朝から台所に立ちっぱなしでラマダンの料理を作ってるのも圧巻だった。「昼間なにも食べないのに、ラマダン明けにはご馳走をたらふく食べるから、かえって太るんだよね」とムスリムの留学生が言ってたこと、ものすごく納得した(笑)

お母さんたちの年代は10歳前後で結婚して(相手も親に決められる。恋愛結婚などない)、封建的な男女の役割を受け継いでいるのだけれど、その娘の年代になると、日本のわたしたちと同じように「なんで女ばかりが家事を?わたしにだって都合がありますけど?」みたいになってくる(笑)

オチがまた面白いです。あ、そうなっちゃうのね…と苦笑する感じ。こういうのテレビで流せばいいのになあ。イランという国の存在がとても身近に感じられるよい映像だと思う。