風とロックSUPER野馬追@鶴ヶ城


ライブ福島に行ってきた。*1福島県内6箇所(奥会津会津若松猪苗代湖、郡山、相馬、いわき)で連日開催されたイベント。わたしはもちろん地元、会津若松鶴ヶ城会場へ!だって、大好きなレキシがくるというのだもの!城でレキシ…!

午後3時に若松駅に到着し、路線バスでお城へ向かう。発車前にバスの運転手さんがサンボマスターのボーカル山口くんのお父さん(高校教師)に英語を習ったこと、サンボマスターのバンド名由来など会津人豆知識を授けてくれた(笑)

お城へ行くのは10年ぶりくらいだろうか。結婚前の夫を実家に連れてきたとき、観光で来た以来。お堀や、それに沿って並ぶ桜の木、大きな石が積み重ねられた石垣、本丸まで見通せないよう鉤型に作られた道、ザリザリと乾いた音のする玉砂利の道を歩いていくと、赤瓦に葺き替えられた天守閣。あぁたぶん若松市内の人は日本の中で、富士山のつぎに鶴ヶ城好きかも…というか、わたしがそうかも!と噛みしめる。

天守閣前の芝生にステージが設営されており、物販ブースで生ビールを調達したあと、炎天下のもと芝生に座ってぐびぐび。ぷはぁーーー!大人ってすばらしい。前座として白虎隊の剣舞が披露され、イベントを主催した風とロック箭内道彦さんと会津若松市長の挨拶のあと、いよいよレキシ登場。

アコースティックバージョンということで、池ちゃん(v,p)と東インド貿易会社マン(v,g)、乳母なる大地(per)の3人。乳母なる大地はセネガル出身で、「アフリカの大地のように大らかな心を持っているので、ボビー!とか呼んでも怒らないよ」と池ちゃんのフリに対して、ちゃんとボビー・オロゴンのモノマネで返してました。…さすが池ちゃんと組めるだけあってのアドリブ力!

Let's忍者、妹子なう、きらきら武士、狩りから稲作への4曲を歌詞の解説しながら演奏(笑)そ、そうか、初見だと歌詞わけわかめだよな…池ちゃん親切だ。そしてMCとコール&レスポンスの長いレキシ、ライブ前「持ち時間オーバーしなければ焼肉おごってやる!」と箭内さんに釘を差されたそうで、池ちゃんにしてはがんばって無駄話を切り上げていた*2「狩りから稲作へ」では、会津が好き♪や、仕切り直し♪が新しいフレーズに。ASKAエレカシ宮本さんのモノマネもちりばめていた。いつも通り楽しいステージで、はじめてレキシを見たひとも虜にしたのではないか!

そのあとはOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND×高橋優、怒髪天×→Pia-no-jaC←×箭内道彦斉藤和義とつづくのだけど、怒髪天→Pia-no-jaC←の演奏はものすごくかっこよかったのに機材トラブルでたった15分程度で終わってしまい、かなり悲しかったのだけど、でもこの夜なんといっても一番かっこよかったのはサンボマスター!誰が何と言おうとも!

ボーカルの山口くんが会津出身という贔屓目は多分にあるかもしれないが、でもこの人の言葉、歌詞は、圧縮のすえに生まれた結晶のような純度と強度を兼ね備えている。演奏された「歌声よおこれ」「希望の道」「I love you & I need you ふくしま」「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ*3は震災前に作られた楽曲なのに*4、すべてが「いま」のわたしたちに向けられた言葉のように感じられた。

「ぼくが今日、ここに来た意味わかりますか?わかりますか!会津に生まれて、福島に生まれて、よかった!と、一瞬でも思えるときを、ひとつでも増やしたい!そう思っているからですよ!」「君たちが明日ドアをあける、あけたときそこにあるのは、悲しみでも不安でもない!希望の道が広がっていると、ぼくは思っているんです!」と、あくまでも愛を貫いた山口くんの言葉に泣けた。

世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」の歌詞 “ 悲しい言葉では何も変わらないんだぜ ” “ 悲しみで花が咲くものか! ” の言葉通り、光を見せてくれた。ただ悲しみにくれること、怒りで攻撃的になることで解決できることは、ほとんどない。状況が窮地であればあるほど、他人に愛ある言葉をかけられるか。そして光を見つけられるか。きれい事であっても、音楽に与えられた魔法の力は不思議なほど血肉になる。その光はまやかしではないよ。


箭内さんも挨拶で言っていた。いまの福島でイベントをやることには賛否両論あったけれど、震災と原発事故以来、不安にすっぽり包まれてしまったような福島の日々のなかで、こんなふうに音楽を楽しむ日が6日間くらいあったっていいじゃないか!と。*5ほんとうに、それを非難したり、奪うことはできないわ。危機的な、不安定なときにこそ、いっそう強く響く言葉、音楽を実感できたこと、そして会津若松という古い町で音楽フェスができたということ、すごくすごく嬉しかった。

*1:http://livefukushima.jp/index.html

*2:お城はやはり使用制限が厳しく、爆音禁止、20時までの使用許可だったそうで、後がつかえるレキシをトップバッターというのも勇気ある

*3:http://www.youtube.com/watch?v=XWXo_rKKqi0&feature=related

*4:震災チャリティーソングになった「I love you & I need you ふくしま」は、やっぱり会津好き、福島好きだなあと思って出来た曲だそうで、震災のために作ったわけではなかったそう

*5:会場には放射線量の比較的少ない場所が選ばれたし、イベントを公表してから当日までずっと線量を測定し発表していた