内澤旬子トークショー@西荻窪のまど
世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)
- 作者: 内澤旬子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2011/05/22
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 70回
- この商品を含むブログ (57件) を見る
印象に残っている話は、40日間の断食のあと犠牲祭で羊をつぶしているとき「肉が食べられる〜」って子どもが喜んで踊っちゃったり、くりぬいた羊の目玉で遊んでたりすること。4、5才ともなると動物を殺すことが怖いというよりも、肉=おいしい!となるらしい(笑)
それで思い出したのは『ヤノマミ』のDVDで、狩りをした豚だったかな?それが妊娠中のメスで、お腹から胎児がでてきたのを子どもたちがいじりまわして、おもちゃにする映像。殺すことと食べることが身近であることの健全さを、つい感じるのであった。
ただ、食肉文化の古いヨーロッパでも、感染症の問題で今や家庭での屠畜は禁止されている。大規模な食肉センターで一気に捌き、生体検査もする。トルコでもEU加盟をみこして、犠牲祭のときはアウトソーシングするよう新聞広告がでるらしい。「わたしたちにお任せください!」というキャッチコピーに、包丁持った笑顔の職人の足元に羊の絵で…(つい笑ってしまう)
インドや、タイの田舎の屠畜の様子はすごかったな〜感染症?なにそれ?って感じで…。その直後に東京芝浦屠場のライン写真(機械だけの)、その清潔さ!感動すらおぼえるレベル。牛1頭捌くのに、1トンの水を使うとのこと。BSE全頭検査の様子を見ても、コストかかってるなぁ、そりゃ牛肉は高いよね〜としみじみしたわ。それでも生産者の努力には見合わない安さで取引されてるんでしょうけれど…。
あとはインディアンに伝わる脳みそを使った革なめし(脳漿なめし)の話も面白かった。わざわざ植物のタンニンを集めなくても、仕留めた動物の内臓を使ってなめすことができる技法。無駄がない!こういうの大好き…。この話は『もう一周! 世界屠畜紀行』に収められるそうです。
内澤さんが実際に豚を飼って、名前もつけて可愛がって、食べたことをまとめた『飼い喰い』の単行本は9月頃の発売だそうで、それはもう楽しみにしている。