家庭内ひとりっ子からの脱却

やっとイカ臭いのがとれた。職場でスルメイカからワタを取り出す作業をしたせいで、しばらく手が生臭かったのだ。すし屋あるいは干物屋でバイトしてるのでもなく、わたしはありふれた事務職なのだが、学生がワタのとり方を知らないというので手伝った。実験で使うとのことで学食のすし屋から仕入れてきた箱いっぱいのイカ…箱は氷の入った発泡スチロール。給湯室でくり広げられる築地的風景。食べないのにムダに新鮮だったのが余計にシュール。だけど愉快でした。小夜ちゃんはこの珍しい光景を逃すまいと写真を撮っていた。どこぞへアップなどするなよ…と背中で語っておいたけど、当然聞こえてない。

夜は姉1から電話。母の暴言に姉2ともども怒り心頭に発してるらしい。わたしのようにふにゃふにゃとスルーしない、すべてにがっぷり四つな性分の姉たちは、母の言葉ひとつひとつに傷ついている。わたしのことも母はこう批判していたと教えてくれたけれど、それはあえて知りたくなかったなぁ(笑)その批判は事実その通りのことだったので、わたしは傷ついたりしないが*1、姉たちに向けられた言葉はやはり不当なもので、そりゃないよってなもんだった。同じ内容を伝えるにしても、もっと言葉を選んで穏やかに賢くやればいいものを、狙っているのかいないのか癪に障る言い方をする母。もう70歳目前なので今さら性格を改善できるわけでもなかろうが、しかし近くに暮らす姉1とだけは友好であって欲しい。でなければ顧みられない独居生活になってしまう。じいちゃん子だった甥1が、さっそく実家へ行くのを億劫がってるという話に胸が痛んだ。あれほど好きだったのにね、じいちゃん家。

思えば、我が家は本当に「女だけの家」になってしまったんだな。父がいるときも男女比1:4で分は悪かったけど、案外たったひとりの男がバランスを取っていたのかもしれない。いままでずっと“家庭内ひとりっ子”*2として気ままに、のんびりとさせてもらっていたが、これからはそうも言ってられないのかも。父が「人を助けて和を保つように」と願ってわたしを名づけた、その与えられた役割をこなしていかなければならない。

*1:それでも姉たちはわたしが可哀想だと怒ってくれた

*2:姉たちと少し年が離れているため、家族中から甘やかされて育った。末っ子は守られてるせいか、当てにならないと思われてるせいか、問題があるとき「蚊帳の外」になりがち。これ幸いと、自由な立場の「孤立」を選んでいた。