あんこ心

寒い。寒いときにわざわざ寒いと言うのは無粋であるが寒い。しかし職場の白梅はすでに咲いていた。退勤するときもまだ日が落ちておらず、暮れの橙から淡い藍色への移り変わりを楽しめる。春近し、なのだ。と言い聞かせる。

今週は仕事するたび筋肉痛であった。肉体労働はしていない、まったくの事務職である。なんでこんなに体中あちこち痛いのか考えてみる。おそらく寒いからだと思う。寒さに凍え、ついつい力が入る。連休明けの火曜日など建物の芯から凍ってる。それをまともにくらってガチゴチで働いていた。実験のため泊まっている学生が「毛布ほしい…」というので買うことになった。理系はなんでも経費で落ちるなぁと思う。もちろん無駄遣いしてるわけではなく適正に運営しているし、わたしなどかなりケチケチして安いものを選んでいる。しかしそれ以上に理系には必要なものが多すぎるのか、文系学生だったわたしからすると「そんなん自分で買えば…」と思わなくも無い物品もたまにあり、でもよくよく考えてみれば文系は研究費が少ないので自腹切らされていただけで、買ってもらってもいいものだったのだ!そうだそうだ!と10ん年越しに思い至るのだ。


先日読んだ『あんこの本』のせいで、この数日の脳内は“あんこ食べたい!それもおいしいのじゃなきゃだめ!”と囚われていたのだが、大阪出張してきた夫が珍しく気を利かせて土産を買ってきて、それもあんこそのもの、喜八洲総本舗のきんつばだった。でかした!小豆ひと粒ひと粒がピカピカに輝いていた。『あんこの本』に関東は塩が効いてて甘じょっぱく、関西はゆたかな甘さと書かれていたが、本当に塩がない!関東以北で暮らしているので塩が効いてるあんこしか食べたことなかった。その日わたしも中村屋で苺大福を購入していたので食べ比べたのだが、たしかに中村屋のあんこはしょっぱかった。喜八洲総本舗のは甘さより豆の味を大事にしているような繊細な甘さだった。西のあんこは上品なんだなぁと、無性に京都大阪奈良あんこの旅をしたくなる。