Kanon Night Of Romance@品川グロリアチャペル

Kanonのクリスマス恒例ライブに行ってきた。物事の本質をとらえる確かな目(耳)を持っている友人が好きな歌い手だというのと、良席を取れる機会に恵まれたので、音源は聴いたことがなかったのだけどその友人を誘い、はじめてライブに足を運んだ。会場の品川グロリアチャペルはとても立派な教会で、パイプオルガンがあるから天井は高く、300人くらいのキャパのこぢんまりしたホールだけど音の返りもよくて、さらにピアノはスタインウェイだったので、もうこれは小谷美紗子もライブやればいいよ!ぜったい神々しいよ!火の川とか歌っちゃいなよ!と思った。…と話が脇にそれた。

初めて聴いたKanonさんの歌声は唸るほど美しかった。小さいころ聖歌隊で歌ってたり、海外の音楽大学の声楽科で学んだというのでポップスだけでなくクラシックも歌いこなせて、ほんとうにね、オペラのソプラノ歌手の技量。ピアノの弾き語り、ピアノ+カルテット+パーカッション、アカペラと、曲に合わせてアレンジや演出を考え抜いてる。オリジナル曲に加えてクリスマスソングや有名曲をカバーして盛り沢山の内容で、2時間たっぷり美しい歌声を堪能できた。
とくに印象に残っているのはカバーの『You Raise Me Up』『The Rose』『Time To Say Goodbye』、これらは日本でも人気があるからそのぶん聴き手も耳が肥えてしまってるけど、そういう思惑なんか吹っ飛ぶ生歌の威力!全編通して声の力がじかに肌に伝わってきて、毛穴も開く勢いだった。

帰ってきてからyoutubeでいろいろ聴いたけど、やっぱりライブの歌声は格別だったなぁ。音源だと凹凸なく成形されてるイメージで、ライブではもっともっと迫力があったから。オリジナル曲も旋律が美しい良い曲ばかりだったけど、如何せん小谷美紗子の強烈な歌詞に心酔してるわたしにはちょっとキレイすぎる言葉が並んだポジティブな歌詞は物足りない。*1でも間違いなく素晴らしい歌い手だと思った。それはゆるぎなく。

今日のライブはわたしの「音納め」だった。今年見たライブは15回。とくにこの2週のあいだにはJazzや現代音楽、クラシックとのクロスオーバーミュージックと、今まで聴かなかったジャンルをごくごく飲み干すように体に入れて、そのどれもが美味しくて心から楽しめた。わたしは自覚してるよりもずっと、音楽が好きだったんだなあと他人事のように感心してみたり。でもわたしは好きなものを増やしたり、あちこち興味を広げたりするよりも、数少ないものに「執着」してねちねちと愛したいほうなので、音源買って活動を追いかける対象は相変わらず小谷美紗子だけとは思う。それでもやっぱり、生で音楽に触れることはジャンルを問わず来年もどんどんやっていきたい。

これって完全に亡き父の影響だと今さらながらに思った。父は音楽大好きで、家にはレコードがたくさんあった。50年代の映画音楽とかトランペットのJazzとかカーペンターズとか八代亜紀とか。クラシックは一枚もなかったけど(笑)いまじゃどんな曲だったか覚えてないのも多いけど、でも小さい頃にいろんなジャンルの音を聞いていたことはたしかに今繋がってる。

*1:MCでも“いい人オーラ”全開だったので、ほんとうに前向きでいい人なんだと思う