ピアノとベース@代官山 晴れたら空に豆まいて

ピアノとベース。初めての試みではあったけど、ものすごく期待していた。だってベースはTrioでも一緒に演奏している山口寛雄さんだし、ヒロの腕は確かだし、お互い阿吽の呼吸で挨拶さえしなくなってるほどだというし、間違いなく素晴らしい演奏が聴ける!と。ベースとピアノだったら、Jazzyな曲…アレとかアレとかアノ曲も…と、2ヶ月前にチケットを購入してから時折妄想にふけっていた。で、本日。もう期待以上の!一生の記憶に残るような!あぁ生きててよかったな…とバンザイで感謝しちゃうような!こういう安いセリフのいちいちにさらに「!」をつけちゃうような!素晴らしいライブだった…もう泣いていいですか。

ラフなシルエットのジーパンに、キラキラのグリッターのついたTシャツ姿の小谷さんがひとりで登場し、弾き語りで3曲。デビュー曲の『嘆きの雪』でスタートしたことからも、並々ならぬ気合を勝手に感じ取る。いつ聴いてもあのイントロで切ない気持ちになる『街灯の下で』を挟み『STAY』、この曲は9月のライブで逝去されたコンノさんに“もう少しそばにいてほしい”という気持ちを込めて捧げられた曲。わたしは先月亡くなった父のことを思いながら聴いた。

ヒロ登場。『惜しみなく愛を』『雲のように』『火の川』は弦バスで、とくに『火の川』は弓で演奏したので、より音源に近い味わい。小谷さんもリハで聴いて心が震えたそうだ。『惜しみなく愛を』はTrioでやってても不思議ではない楽曲なのに、わたしは初めて聴いた。小谷さんの高音が美しい。そして『雲のように』はわたしが感じていたよりずっとずっと明るく力強い歌なんだと印象を改めた。
ここでベースに持ち替えて『オオカミ』『Quarternote』『明日からではなく』『真』『消えろ』。『オオカミ』はTrioでシングル収録しているけど、そのバージョンが大好きで、今日もベースソロにあわせて歌い出す小谷さんがやたら可愛く見えた。いつだって可愛いけど、オオカミのときのノロケパワーというか“ねたまれてるわよ 私たち いいえ もうすでに 例の人 いろいろやってるわ ああ なんて心地よいのかしら”を歌う表情がすごく好き。『Quarternote』は去年1月のツアーで聴いたTrioアレンジのベースにとても感動していたので、また聴けて幸せ!『明日からではなく』『真』どちらも弾き語りでは定番、この曲を聴くたびに背筋が伸びる。『真』は小谷さんが歌いだしたところで「やり直したい」と、仕切り直したあとの歌い方がいつもとは全然違っていた。最後の『消えろ』、ドラムなくてもここまで成立しちゃうのか…この2人…とちょっこしトムくんが可哀想になりましたけど…。ここでヒロ退場。

『手紙』で本編終了。曲の前に小谷さんの日記でも触れられていた阿部登さんについてお話された。阿部さんは小谷さんをデビューさせてくれた人。一気にお茶の間に浸透させて1・2年で歌手生命を終わらせないように、長く永く歌い続けられるように道を創ってくれた人。阿部さんがいなかったら今まで歌い続けてこられなかったかもしれない。全然死なないような感じの人で骨も拾ってきたんだけど、なんだか今でも実感がない、と。阿部さんが亡くなった時間、ちょうど小谷さんの右手の親指と人差し指の間から血がダラダラと流れて、もしかしたらこれは「もっとピアノがんばれ」という阿部さんからのメッセージなのかと思ったそうだ。手が小さいからと諦めてしまいがちだったこともあったけど、これからは自分で道を創っていかなければならないのだから、初心を忘れずに気を引き締めましたと。この話を聞いて、あぁ30代半ばってそういう年代なんだなぁと思った。わたしも父を亡くして、それまで庇護してくれた人を失ったわけで、歳だけはとっくに大人だけども、まだまだ甘えていたことが、もうできない、ほんとうに自立をしなければならない、そういう歳なのだね。

『手紙』をいつも以上に想いを込めて熱唱し、客席を号泣させて小谷さんは退場。アンコールで出てきてまずひとことは、『真』で歌いなおしたときのお客さんの応援するような反応がとてもあたたかくて、歌ってる途中でそれを思い出して泣きそうになったと。たしかに『真』で声が震えていた。あとは、このライブのチケットは発売1時間で売り切れたそうで、「発売する時間にちゃんと買うなんてすごいね」「そんなに心から執着してくれてありがとう」と、とても喜んでいた。「執着」しますよ、こんな演奏一度でも聴いたらねぇ。

そして今日のハイライト!なんと!わたしが勝手にブログタイトルに使ってしまっている『空が藍色になるまで』をベースと一緒に演奏してくれた!うわぁ〜ずっと聴きたかったの。でもこの3年間で一度もライブで聴いたことなかったの。教会の鐘のような荘厳ささえ感じるピアノのイントロが大好きで、歌詞も“あなたを想えば 太陽が零す夕やけさえ 私の頬の赤らみには敵わない”“あなたに会えば 体の泉に小石を投げられた様に 波紋の渦に酔いしれる”とかね、片思いの突っ走った情熱がほとばしっていて、大 好 き!!最後の最後はソロで『眠りのうた』、この曲も何度聴いてもいい。あぁ、本望です。わたしもう何も望まないわ…ピアノとベースのライブが定番化する以外は、ね。

  1. 嘆きの雪
  2. 街灯の下で
  3. STAY
  4. 惜しみなく愛を
  5. 雲のように
  6. 火の川
  7. オオカミ
  8. Quarternote
  9. 明日からではなく
  10. 消えろ
  11. 手紙
  12. 空が藍色になるまで
  13. 眠りのうた