読了

とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起良いおっぱい悪いおっぱい 完全版 (中公文庫)
良いおっぱい悪いおっぱい』を新たに加筆・修正しての<完全版>として今年出版されたもの。25年前にこの本を書いて出した伊藤比呂美さんはやっぱりすごい人だ。この正直さ、直球さ。こんなに情報が溢れていて、女性が発言することも当たり前のいま読んでも、どきっとする言葉に満ちていて、新鮮。これ読んだら妊婦や経産婦のある種のハイ状態をよく理解できた。う〜んと気持ちいいんだろうな、お母さんになるのって。姉たちを見ていてもすごいと思った。あんなに他者(子ども)に無条件に求められてる毎日は、さぞかし多幸感にあふれているだろうと。気疲れることもたくさんあるだろうけども、子どもの笑顔で吹っ飛ぶだろう。
伊藤さんの作品を初めて読んだのは2年前、『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』。これがとてもとても面白くて、言葉をこんなふうに使うのか!という驚きとか、リズムとか、元ネタ追うのも面白かったし、それ以来大好きで、遡って読んでいるところ。佐野洋子さんと伊藤さんのエッセイは妄信といってもいいくらい、読む前から信頼してしまっている。
そして、もう1冊読んだ本…大きな声では言えないがどう評価していいのかわからなかった勝手に震えてろ。一人称の小説は難しいね、主人公が若い女性だととくに。という脳内フォローもしたけれど、でもなんか大丈夫なのかりさ。わたしのなかの「読みたいけれど買いたくない作家」ナンバーワンになってしまってるぞりさ。