読了

今日も尚いっそう寒かった。おとといまではタオルケットで寝ていたが、さすがに寒いので掛け布団を出したら、ハウスダストで鼻水止まりません。次の晴天には部屋の模様替えをしなければいけないかな、と思うとちょっとブルー。夏用のラグマット洗濯して、冬用のもこもこラグを出し、コタツはまだでいいよな…。出かける用事もあったけど、またも体調すぐれずに一歩も外へ出ず。涼しくなって嬉しいはずなのに、身体がついてこない。

原稿零枚日記

原稿零枚日記

久しぶりの小川作品、冒頭の「苔料理専門店」の描写で「ああ、そうだった!小川さんの世界ってコレだった!」と一気に物語世界へ連れてかれた。どんな小説にも最適で過不足無い「あらすじ」をつけることができる作家の日常を日記風に綴った小説だけれど、一日一日が独立している短編集のようなかんじ。次々に不思議な世界を見せられて、眠いときに読んでたのもあり、夢うつつで現実との境界線が曖昧だった。
小川さんの作品は薄暗くて、しっとりした空気があって、日常わたしたちがエロスからは一番遠いと思っているようなものがすごく艶かしい光を放っていて、もう耽美!『薬指の標本』がフランス映画になったのも納得。『原稿零枚日記』も異界を感じさせる『薬指の標本』と通じる作品でした。『博士の愛した数式』しか読んだことのない人もこういう小川作品を読んでくれるといいなあ。

宮嶋さんの20年の仕事を網羅した写真集。アフガニスタンイラクルワンダコソボチェチェン、新ユーゴスラビア(当時)、ルーマニア、95年の神戸、御巣鷹山…。さっきまで「人間」であった人たちが「死体」になる、それはほんのわずかな時間で。地球上には「安全」な場所など、ただの一箇所だってありえないということ。今日と同じ明日がくるとなんとなく思っているわたしには衝撃的な写真ばかりだった。
ここ数日ネットでは勇ましい発言が見受けられるけど、たしかにミサイル一発ぶっ放すことは簡単だけど、それがもたらすもの、得られるものってなんだ?と思う。宮嶋さんが写真に収めてきた瓦礫の山、死体の山、原形をとどめない肉塊、勝っても負けてもそれだけなんじゃないのか。
印象に残っている写真は、陸上自衛隊幹部レンジャー教育課程の訓練の写真。飲まず・食わず・眠らずで、重い武器を抱いたまま5日間、「小休止」の号令で4分30秒の仮眠、森の中を歩き続ける。自衛隊は軍隊じゃない、こんな訓練バカバカしいと言うのは簡単だけど、でも本当にこの人たちが戦場に行かずに済むように、努力しつづけることがわたしたちの責任なんだと覚悟したら、震えた。
肝に銘じよう。「正義は銃口から生まれ、災いは人間の口から発せられる」−宮嶋茂樹