Hardcore Solitude@渋谷

昨日は渋谷のduo MUSIC EXCHANGEにてタテタカコさんのアルバム発売記念イベントライブ『Hardcore Solitude』があり、ゲストが小谷美紗子さんでした。
初めて入る会場。昨日はパイプ椅子が並べられ、整理番号が一桁台だった私は、ペダルを踏む足先まで見えるピアノ前の席に座った。ステージ低めですごく近いけど、ここはスタンディングもするのかしら。7月のトリオライブはこの会場なんだけど、前方ならばかなり見やすい。しかし中ほどには大きな柱が左右に2本どどんと遮ってるので、後方になるとツライかも。

さて、今回は二人ともピアノ弾き語りということで、それならばと用意されたピアノはスタインウェイでした。おぉー。小谷さんも「これくらいのピアノだと、ベースとドラムの入ったトリオ用の曲をピアノソロでやっても淋しい音にならない(笑)」と嬉しそうだった。

  1. Care me more,Care me
  2. 自分
  3. 青さ
  4. OUT
  5. 明日からではなく
  6. 消えろ
  7. 手紙

『Care me〜』『自分』は2年ぶりくらいにライブで聴いた。『自分』を聴くたびに、恥じ入りたくなる。小谷さんは『青さ』で若い頃のことを「恥ずかしくなるくらい 清らかだった」つまりは『自分』で歌うところの自分の欺瞞を許さない潔癖さをそう表現し、それをもう一度思い出してみようか、と歌っている。

話は前後しちゃうけど、そのあとタテさんの歌を聴いて、この人は本当に素晴らしい声を持ってるし、ピアノも歌も超絶上手くて、声を聴いただけで心にズドーンとくるのはそれこそオペラとか、そういうのに通じていて、誰彼かまわず「絶対ライブを観て欲しい!ライブじゃなきゃだめ!!」と強く勧めたいアーティスト(余談ですが、タテさんは音楽を聴くことで生きている実感を探っていた大学時代から小谷さんファンで、10年後にこうして同じステージに立てることは本当に嬉しいっと目がキラキラしてました。しゃべりだすととても可愛らしい)。

でも小谷さんの場合は、私は大好きだけど無理強いまでして勧められないというか、声も歌詞もいびつなところがあって、それに反応する人は心酔するか拒絶するかの両極端になると思う。歌詞が、心臓えぐりだして短剣でぶっ刺す(グロくてすみません…)、そんな印象。ありきたりな言い回しがなく、それでも平易な言葉で本質を見せてくれるというか、日常生活であえて見ないように、なかったものとして忘れて、考えないで棚上げしていることを「ほら、ほら」って目の前に突き出される居心地の悪さみたいなもの。しかし反面、まるで菩薩的な大きさでダメな人間もまるごと抱えてくれるような歌もある。小谷さんの歌は「癒し」なんてところからは遠く離れているのにもかかわらず、聴けばものすごく救われる。

お二人の歌を聴いてたら、やはり音楽って「捧げられた」ものなんだなあと思った。文明らしい文明もなかったような時代から、それでも歌はあったと思う。そういうときの歌は、まず「自分のため」のものではないだろう。天上に、目に見えないものたちに、亡くなったもののために、目の前で悲しむ人のために捧げられた歌であっただろう。自我を超えて捧げられたもの。芸術全般に言えることだと思うけど、そういう瞬間に出合えることは「在りがたい」ものなんだと思う。