フランケンシュタイン再び

気がつけば1週間経ってました。今月はあまり働いてないのに疲労感で動きが鈍いです。たぶんバレエとか映画とか見すぎて浮遊感、非現実感が最高潮で…地に足つけて生活したいのになかなか戻れない。

それなのにまたNT Live『フランケンシュタイン』Aヴァージョン(博士:ベネディクト・カンバーバッチ、怪物:ジョニー・リー・ミラー)観にいってしまい、心を浮つかせてきました。あああ…やはりジョニーの怪物は愛おしい!劇中にも出てくるけど、ジョニーの怪物は「性善説」を具現化したものなんだよね。彼はまっさらの状態で生まれてきた。

「Dawn of Eden」での自然への反応も赤子のそれと同じで、見るものすべてが美しく、歓びであふれてる。自然だけは彼の誕生を祝祭していた。それが人々の拒絶と悪意で変貌していく。エリザベスへの最後の罪もさ…ためらいが目の奥にある。信頼できそうな人をようやく見つけた、ありがとうと感謝しながらも、クリーチャーは博士との対立を選んでしまう。

今日は北極圏での二人が本当に親子に見えて、切なかった。他人からの愛を拒絶しつづけた親である博士と、ただ愛を請う息子クリーチャー。ジョニーの声には力があって、要所要所の大事なセリフが胸に迫る。盲目の老人との対話における「知れば知るほど、わからないことが増え、自分が無知であることがわかる」その絶望に、スコットランドで博士に「愛とはなにか?」を語るその説得力に、そして最後の「愛を請い、死を恐れる」ところに今回も落涙。あとは月を見て自分のように孤独で悲しいというところ、地上の生き物はすべて仲間がいるのに!と訴えるところも好きだ。

そしてカンバーバッチはマッドサイエンティストにぴったりだよなあ。原作の博士は愛に包まれて成長して、ほんとに好青年で、ジョニーが博士を演じるとイメージがぴったり重なる。けれど、だからこそ、歪みのないヴィクター(博士)がなぜ怪物を創造したのか?という疑問は拭えない。カンバーバッチさんの博士は科学の追究、自分の力を試したい傲慢さ、創造主・神の視点への憧れという複雑にこんがらがった性格で、物語の収まりがいい。

クリーチャーに愛を正確に語られてショックを受けたあの表情で、女性クリーチャーを壊したのは「嫉妬」だったのではないか?と思った。自分が知らない「愛」を理解しているクリーチャーへの嫉妬で、パートナーを作ってたまるか、というの。

あぁ…ふたりだけのシーンが大好きだ。DVDは発売されないとのことなのでスクリプト読んで脳内再生、そして↓のUNDERWORLD「Dawn of Eden」聴いて涙することにします。