信念と人心掌握

ハンナ・アーレント(Hannah Arendt)」
監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ、脚本:マルガレーテ・フォン・トロッタパメラ・カッツ、出演:バルバラ・スコヴァ、アクセル・ミルベルク、ジャネット・マクティア、ユリア・イェンチ、ウルリッヒ・ノエテン

自分でもなにをそんなに期待してたのかわからないけど、意外とあっさりという印象の映画でした。アイヒマン裁判の公正さやショーアップされかたへの疑問を誤解を恐れず、感情とは別にして、率直に言葉にしてゆくアーレントが淡々と描かれてます。こういう意思の通し方をするには信念が必要だと思うのだけど、わたしに信念てないなあ…うーむ。
ここにもユリア・イェンチ(白バラ、ベルリン僕らの革命)が出てて、ドイツの若手女優は彼女しかいないのかと誤解しそうです。


ダラス・バイヤーズクラブ(Dallas Buyers Club)」
監督:ジャン=マルク・ヴァレ、脚本:クレイグ・ボーテン、メリッサ・ウォーラック、出演:マシュー・マコノヒージェニファー・ガーナージャレッド・レト
1985年にHIV感染が判明、医師からは余命30日と宣告された実在したロン・ウッドルーフさんをモデルにした映画。まだエイズが不治の病だったころ、ウイルスを死滅させる薬の開発に製薬会社がやっきになってたころ、病気への偏見(同性愛者がなる病気であるとか、空気感染するとか)が根強かったころのお話。主人公もその周囲もホモフォビアで、「…」となる差別的なセリフはたくさんありますが、映画ではトランスジェンダーの子を相棒にして、徐々に理解し友情が生まれる運びになってて、LGBTへの理解啓蒙も果たしているようです(実際はそういう相棒はいなかったらしい)。
臨床試験段階だったHIVウイルスを死滅させる新薬(副作用が強く、免疫力を低下させる)よりも、症状を緩和するためFDA未承認の薬を密輸しながら患者に配る活動を7年後の1992年に亡くなるまで続けた人。今ではHIVは慢性疾患として扱われ、症状緩和や発症を遅らせることにシフトしてるから、90年代あたりが過渡期なのかな?
酒とヤク漬けのダメな生活から生存への執着でいっきに行動を繋げていく主人公は一般的なヒーローではないものの魅力的でした。マコノヒーかっこいい。レト美しい。


「ザ・マスター(The Master)」
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン、出演:ホアキン・フェニックスフィリップ・シーモア・ホフマンエイミー・アダムス

第二次世界大戦後に海軍を退役した男が、新興宗教の教祖と出会って強烈に惹かれ、そして反発して、でも捨てきれない…みたいなお話。映画館の紹介文には「他人の人生のマスターでありたい男と、マスターを持とうにも否応なく人生を外れてしまう男の、ある意味くんずほぐれつのラブストーリー」とありました。ラブストーリーかどうか、わたしは感受できなかったのだけど…。
とりあえず同じ質問に3回答えさせて人心掌握したいです。しかし掌握したところで相手の面倒みるのは面倒だなあって、他人にそこまで興味関心がないから余計に思う。