新国立劇場バレエ公演「バレエ・リュス ストラヴィンスキー・イブニング」

新国立劇場バレエ団の公演を初めて観にいきました。2013-14シーズンの開幕演目はバレエ・リュス(Ballet Russes)、直訳すれば「ロシアのバレエ」ですが、1909-29年のたった20年間だけ活動していた、しかし短い活動期間ながらそれ以降のバレエにたいへんな影響を与えた作品を次々生み出したロシアのバレエ団なんですって。創設者のディアギレフって人がすごいプロデュース手腕でヨーロッパの芸術家をたくさん巻き込んで活躍したそうな。

ほほう。また全然知らないものを知るチャンスだな!と思いましてチケット買いました。新国立劇場は夏に小林紀子バレエ団「マノン」以来。あのときは1階前方ド真ん中のすごくよい席だったのもあり、なんて見やすい劇場だろうかと感心したのですが、今回はたまたま2階のサイド席の一番内側にしましたら、群舞がとても大事な演目だったので(もちろんそんなこと知らずに取ってるw)、ちょっと上から見るくらいがとっても見やすくて、しかも近いし、死角もないし、オーケストラピットまでしっかり見えて(これも今回すごく大事だった)、ほんとにわたし運のよさってなんだろうか!と席だけで幸せ感じました(笑)


肝心のバレエは…大満足でした!オーケストラがとってもよかったため、「音楽のためにバレエがある」という大前提が成立したというか、音楽をよりいっそう楽しむためにバレエが音を視覚化してるのだと実感できた。NYCBの公演のときも思いましたが、音楽がよくて踊りもよければ物語はあってもなくてもいいというか、もちろんドラマティックバレエも大好きですけど、音楽にあってる動きだけでもう感動できる。


演目は「火の鳥」「アポロ」「結婚」の三本立て。
指揮:クーン・カッセル、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、合唱:新国立劇場合唱団

★「火の鳥」振付:フォーキン、火の鳥:米沢唯、イワン王子:菅野英男、王女ツァレヴナ:本島美和、カスチェイ:古川和則
舞台美術、衣装が細部まで可愛い。カスチェイと戦う火の鳥、そして魔物に変身させられてる捕らわれの群舞が興奮しました!おぉぉ!かっこいい!!

★「アポロ」振付:バランシン、アポロ:コナー・ウォルシュ(ヒューストンバレエより客演)、テレプシコール:本島美和、カリオペ:米沢唯、ポリヒムニア:奥沢花純、レト:千歳美香子
先月NYCBを見て「バランシンを見るならやはり本家(NYCB)しかありえないのかもしれない…」と思ったのですが、新国立劇場でもありかもしれない?と考えを改めましたので、来年3月の「Symphony in 3 movements」観にいこうと思います。

★「結婚」振付:ニジンスカ、花嫁:湯川麻美子、花婿:福岡雄大ソリスト歌手 ソプラノ:前川依子、アルト:佐々木昌子、テノール:二階谷洋介、バス:塩入功司
休憩中にオーケストラピットに4台のピアノが運ばれてきて、コーラスの椅子をぎゅうぎゅうに入れて(笑)、そういう準備を席から見ることができたのも興奮しました。
「結婚」の音楽を予習したときはメロディの不穏さに負けて物を投げつけたくなるような衝動にかられましたが(笑)、そうして「やはりストラヴィンスキー苦手だ…」て思ったのですが、実際に聴いてみるとピアノと人の声がメインなので、ぜんぜん不快でなく、むしろすごくかっこよくて引き込まれました。人の声の力というものを久しぶりに肌に感じました。で、そのコーラスや演奏に完璧にシンクロしてるダンサーたち。圧巻。

カーテンコールでダンサー、オケ、コーラスの演者すべてが笑顔で、その笑顔を見ていたら、「音楽で、バレエで、生きていく」って覚悟を、この人たちはどうやって決めたのかしら、とひとりひとりの人生まで思いを馳せたら胸が詰まって、泣いてしまった。芸術に携わる難しい道を選んでくれたことに感謝する気持ちで。