シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2013@東京文化会館

昨日15日にギエムの「カルメン」を見てきました。マッツ・エック振付のカルメンは50分程度の短い作品なので、その前に東京バレエ団による「エチュード」がありました。

配役はNBSのサイトから引用

エチュード
エトワール:奈良春夏、梅澤紘貴、入戸野伊織、白の舞踊手(ソリスト):沖香菜子、河合眞里


カルメン
カルメンシルヴィ・ギエム、ホセ:マッシモ・ムッル、エスカミリオ:柄本弾、M:高木綾、オフィサー:木村和夫、ジプシー:岡崎隼也、女性たち:奈良春夏、矢島まい、川島麻実子、河谷まりあ、伝田陽美、三雲友里加、兵士たち:氷室友、松野乃知、岸本秀雄、入戸野伊織、岩村暁斗

エチュードをまったく知らずに見ました。バレエ基礎技術を見せていく作品で、これは睡魔に襲われそう…やばいと思いながら注意深く鑑賞。女性たちはテクニックも揃っていてよかったですが、ソロ以外の男性ダンサーたちのレベルにはすこし疑問もありました。重力に縛られてる…欽ちゃん走り…など。

これはロシア系超絶技巧のダンサーたちが踊ればそれはそれは盛り上がりそうな作品だと思いました。あと最近見たNYCBのダンサーであれば、画一的な動きのなかにも一人ひとりの個性がバシバシと出てる踊りが見らるんじゃないかなーとか想像して楽しみました。

わたしは体型の差で踊りの優越を決めたくないので(もちろん美しい脚や身体のラインを持っている人はそれだけありがたい存在ですし、努力の結晶と思いますが)、やはり技術やその人にしかできない振る舞いに注目したいです。


カルメンはちゃんと予習しました。ようつべで(おいっ)マッツ・エックの奥様アナ・ラグーナが踊ってるやつ。ありがたい世の中です。

初めてのシルヴィ・ギエムは…とても人間くさい人でした。伝説化しているので、カリスマ性がすごくて浮世離れしてるようなそういう人なのかと想像していたのですけど、ぜんぜん!土に根っこはって泥臭くなっても気にしないような強さとしなやかさがあって、可愛らしさやあったかさみたいなものも踊る姿から感じました。カルメンは精神的に自由で誇り高い女性のイメージですが、ギエムにぴったり。

最後のキラキラの衣装は炎を吐くドラゴンぽい。ゲド戦記(原作のです。断じてアニメでなく)にでてくる竜、炎を吐くので全身うろこひとつひとつが真っ赤に焼けてる竜に見えた。あれも誇り高い生き物。とにかくかっこうよかった。

ホセのムッルは色気ムンムンな人なのかと思っていたら、たしかにセクシーだけど影が強くて、控えめな印象でした。そこがホセらしい非モテ風に映って(容姿端麗なのに)、悲劇がいっそう情緒的になる。

見る前はギエムとムッルに日本人のキャスト…存在感に差がでて興ざめになったらイヤだな…なんて不遜なことを思ってましたが、M役の高木さんも、エスカミリオの柄本さんも素晴らしかったです!とくに高木さんは、死の象徴だったり、ホセの婚約者ミカエラであったり母であったり、場面ごとにイメージが変わるM役だから難しいのに、その動きから存分に伝わってきました。こういう表現者が日本にもいると知ることができて嬉しかったです。

エックの作品はユーモアとブラックさ、悪趣味ギリギリの可愛らしさを舞台装置などにも感じます。面白いな〜。あまり日本では上演されない演目なのかと思うけど、また違う作品も見る機会があるといいです。