時間堂「テヘランでロリータを読む」@ミニシアター1010

結局原作を最後まで読めなかったのですが、お芝居見てきました。
時間堂「テヘランでロリータを読む」@ミニシアター1010 http://www.jikando.com/nextstage.html

原作のあらすじは、欧米で教育を受けたイラン出身の英文学者アーザル・ナフィースィーが79年イスラーム革命後すぐのイランに帰国して大学で教鞭に立つのだけど、イスラームの規範から逸脱しないように監視する目に抵抗していくことで教職を追われたあと(95年)、7人の女子学生たちを選び、週に一度、英文学を読む秘密のクラスを開くことにする。抑圧された生活のなかで唯一の楽園のような存在になるクラスと、その顛末という感じだろうか。小説のようで、エッセイのようで、文学論でもあるような、面白い本です(ま、途中までしか読んでないけど)


お芝居のほうは作者である「先生」は登場せず(存在はある)、ナボコフ「ロリータ」のハンバートハンバート狂言回しのような登場をし、また原作では存在感の薄い男性たちもきちんと性格が与えられている。

ステージはなく、中央に四角い枠、それを囲むように四方に椅子が設置されてる舞台で役者さんとの距離がとても近い。音楽や効果音はなく、最小限の照明のみ。あとは生身の人間の体と声。


程度の差はあれ、時と場合によって今の日本でも抑圧というのはあるわけで、舞台はイランイスラーム共和国と遠い異国ではあるけれど、抑圧下での自己表現や葛藤というのは全く遠い感覚ではない。

それでなくともわたしは他者から強制されることや理不尽な扱いをされることが大嫌いで、それは自分に向けられるから嫌いなのではなく、他人が同様の扱いをされているのも体が震えるくらい怒りに支配され、「フランダースの犬」なんて見ていられないです(脱線)

今回のお芝居でも女性たちがどんなことを強制されたかについて語る言葉があるのだけど、聞いてるだけでくやしくて涙でちゃうのよね…なんせ怒りで泣くタイプなので。でもこれは役者さんの声に、言葉に、切実さがあったから伝わったのだと思う。みなさん素敵な役者さんで(加えて容姿も麗しい)、偉そうに言うならば、感心した。

わたしはお芝居をほとんど見ないし、日本の小さな劇場でどんなお芝居がかかってるか、そのレベルが世界的にみてどんなものなのか知る由もない。でも、こういう題材のお芝居が身近な劇場で、きちんと鍛錬した役者さんによって、手ごろな価格で見られるとは、東京ってすごい所だな、と単純に思ったことです。


お芝居が終わったあとトークコーナーがあり、演出の方はイランのことを何も知らないのに芝居をするのはイヤだなあ…と思って、クラウドファンディングで旅費を調達し、このお正月にイランに行ってきたそうです。それを聞いて、!!いいなあ!!イラン、わたしも行きたいよおーーーーと、激しく嫉妬しました(笑)そのイラン旅行の顛末がブログにつづられており*1、それがとても面白かったです。イラン在住の方のブログなども紹介されており、それも嬉しい。

このお芝居に誘ってくれた友人が、わたしが一番素敵だなあと思ってた女優さんとお友達ということで、会場出たところで彼女とお話できたのも余計に嬉しかった。役者さんたちもイランを知るために本を読み、映画を観て、代々木のモスクを見学し、イラン料理屋さんに行ったそうです。もちろんザクロにも(笑)

いまやラミン関係ないところですっかりイランの虜であるわけですが、普段中東に興味あると言っても誰からも共感されないので、ひとり細々と焚き火気分でいたのです。それが今日は予想を上回る「イラン充」で、一気にキャンプファイヤーですよ。ノウルーズ前の水曜日に越えられないくらいの火の高さ(これわかったあなたはイラン通)!!


ほんとに楽しい一日でした。
(お芝居はイランに興味がなくても十分に理解できます。1月28日(月)まで。2月6日(水)・7日(木)仙台公演もあります)

物販で手作り蝶々バッチ買いました。色とりどりのなかから、大好きなターコイズブルー