サケ

毎年安いこの時季に自宅で作る「いくらの醤油漬け」、白米の上に山盛りのせて食べると一年のイクラ欲が鎮まります。

しかし夫は魚卵が苦手なので、わたしの献立とは別に、鮭のムニエルを出しました。「これは知床のヒグマが遡上してきたサケを、調子にのって爪でワッシャー!ワッシャー!と食べきれもしないのに面白がって引っ掛けて、つぎつぎ河原に打ち上げたものをお裾分けしてもらい作ったものです」とヒグマの物まねつきで出しました。

夫が食べてるあいだも、ワッシャー!とヒグマがサケを捕らえる真似をして、それを河原から眺めて、びちびちとまだ動くサケをむんずと掴み、粗く編んだ篭に放り投げ、それを背負ってここまで来たよ、などと話しました。

そうしたら「まさわたんが登山みたいな格好してることが想像つかない。絶対に似合わない」と言うので「そんな大げさな装備はしなかった。ジーパンにダウンジャケットで篭を背負っただけ。靴だけは丈夫で歩きやすいものにしたけれど」と言ったらお米を口から吹き出しそうになってた。

夫が食べ終わって「ごちそうさま」の声につい反応して「たのしかった?」と訊いてしまったけれど、あれ「おいしかった?」て言えばよかったよね。