読了

エゴイスト入門 (新潮文庫)

エゴイスト入門 (新潮文庫)

昨年購入したものだが、先週の通勤の友で、ようやく読了。ときおり声をあげて笑ってしまうほどの面白さだった。中島先生の本を読んでいると、自分で思考し、言葉で相手に直接伝えることの大切さ痛感する。日本人は曖昧な笑顔でなんでもかんでも切り抜けようとしすぎるから(わたしわたし!)街でむっとすることがあったとき、ツイッターに書き込んで手軽に溜飲下げたり、家に帰って文句言ったりするのはほんとにせせこましいこと、中島先生のように「不快であること」を相手に毅然と言っちゃえればどんなにいいか!ま、難しいよね(笑)あきらめがいいわたしは、中島本でスカっと爽快しておきます。

私が言いたいこと。それは、みんなと同じように感じ、みんなと同じように怒ることはとても簡単なことだ、だからほとんど価値のないものだ、いやそれ自体害を及ぼすものだ、ということである。こういう善良な庶民=大衆が、中世ヨーロッパでは夥しい数の「魔女」を猛烈な怒りをもってひっ捕らえ、ヒトラー政権下のドイツでは膨大な数のユダヤ人を憎しみに満ちて告発したのである。大衆が自信に満ちている時、そしてエリートがそれにへつらう時(つまり、現代日本)こそ、哲学が必要なのではないかと思う。(174p抜粋)

哲学とは、philos(愛)+sopihia(知)、「知を渇望する」ということだそう。哲学のほかに、学内外での活動、騒音との闘い、差別について、自殺未遂を繰り返す学生とのやりとり…と盛りだくさんの本です。ぜひ。


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