読了

世界65カ国をめぐり綴った傑作ノンフィクション『インパラの朝』の中村安希さんが、日本の若手国会議員18人を取材した今回の『Beフラット』、たいへんおもしろく読んだ。
議員が語る日本の問題点とこれからの対策、それに呼応し挿入される中村さんの回想。世界中を旅して経験したこと、出会ったひとたちの言葉をヒントに、どんな手段で、どんな国していくのかを模索する。視点が個人的ではあるんだけど、でも国ってのはその個人の寄り集まりで構成されてるということ、はなから「政治なんかわかんない」と諦めてるわたしが忘れていることだった。わたしみたいな「国」と考えると気後れしたり、おもわず「肉」とタイプミスしてしまう人*1には良書です。バリバリに政治に強い人には物足りないかもしれないけれど、中村さんの体験談を読むだけでも価値あり。

とくに印象に残っているのは、『インパラの朝』では語られなかった戦争責任について。アジアのなかでしこりを残しつづけている戦後の日本の対応に、訪ねる国によっては「あなたはここでかつて日本がしたことを知っているのか!」と糾弾されたこともある中村さんがどうやって日本の過去と、目前の人たちと向き合ってきたか。そこで語られたエピソードで、ほんとは関係ない東電の原発事故を連想した。「責任とはごめんなさいと謝るだけでも賠償で片をつけることでもなく、同じ行為を繰り返さないと示し続けていく姿勢だ」とスーダンの元国連職員の方の言葉に。

しかしなんというか、18人も取材したのに名前を出して語られる国会議員はたった5人程度…名前を出してくれるな、と釘をさされたのもあるそうだし、名前も出せないくらいお話にならない人もいたのかな…。

Beフラット

Beフラット

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インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸 684日

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*1:何度も打ち間違えてる