読了

安閑園の食卓 私の台南物語 (集英社文庫)

安閑園の食卓 私の台南物語 (集英社文庫)

86年の刊行の単行本を、去年文庫で復刊したもの。非常におもしろかった!著者は1933年台湾のかなりの名家に生まれ、結婚を機に来日、離婚後もそのまま日本に留まり子ども一人を育てるために料理教室を開いて生計を立て、NHKきょうの料理などにも出演されていたらしい。豊かな時代の裕福な家庭の食卓は、日常から手間を惜しまずそれは見事で、お正月や結婚式などのお祝いの席など桁はずれの豪華さ、あざやかさにうっとり。当時の儀式、風習も興味深い。さらに日本で息子と二人暮しを選ぶくだりは、著者の知性や芯の強さが光って胸を打つ。こんなに素敵な女性がいたのだわ。生前に、もっと早く知りたかった。各章の終わりにレシピがついてて、豚の血の料理とか日本の家庭じゃ再現不能なのもあるけど、お料理好きな人ならチャレンジしたくなるようなものが大半。しかし純粋に読み物として面白い。日本語が母国語ではないとは信じられない文章力です。


あんこの本 何度でも食べたい

あんこの本 何度でも食べたい

お店の方のインタビュー記事が多く、みなさん熱くあんこを語っているのところがおもしろい。著者もしっかり研究して記事を書いてるので読むところが多い。エルマガの本なので関西のお店が多いのだけど、不満はなかった。ふつうのお店紹介グルメ本でお店が近くにないと退屈しそうだけどね。


田舎の紳士服店のモデルの妻

田舎の紳士服店のモデルの妻

読む前は「どうにかならんのか、このタイトル」と思ってたんだけど、読み終わればなるほど、と。装丁もかわいらしい感じだし、もっと軽めなのかなと思ったら意外にも読みごたえあり。二人の子どもがいる既婚女性の30-40歳までの10年間を2年刻みで描いた物語。傍から見れば平凡すぎるほど平凡な生活も、これほどまでにハードか!と思った。生きてる人はすごいな、わたしもすごいな、なんてバカみたいに感心してしまった。途中、あれ?という展開もあるにゃーあるんだが、楽しく読み通せたのでOK。結婚してるしてない、子どもいるいない、そんなの関係なく等しく日常生活はめまぐるしいですな。


ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯

第2次世界大戦下のイギリス、傷ついたスズメを保護し育て、看取るまでのノンフィクション。動物または人間が老いること、どこまで手を掛けるかを考えた。ページ数は多くないのに、読み終わるまでにとても時間がかかった。