読了

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)ふたりの証拠 (ハヤカワepi文庫)
悪童日記』の続編読み終わった。んーーこんな展開が待っているとは思いもしなかったよ。三部作のいずれもが簡潔な文章なので、とくに誰に感情移入するわけでもなくするりと読める。作品ごとに人称を変え、そして読み進むごとにタネあかしのような展開があるので退屈せずにぐいぐい読める。人間が犯してしまう罪という罪がすべて描かれているけど、淡々とした文章なので嫌悪感はない。けどなーんかモヤモヤとさせるおもしろさがある。映像がないからこそのトリック、言葉でしか効き目の無いトリックが表現されていて唸った。けども、やはり第一作の『悪童日記』のおもしろさは越えないかなぁ。うーーーん、とモヤモヤを引きずっている。



虹色ドロップとても正直で偉ぶらない文章が、伊藤比呂美さんや佐野洋子さんを思い出させた。映画監督の妻で2児の母で会社員で文筆家でもある大忙しの夏石さんの日常と、大切にしていることが書かれている。さすが映画監督の妻だけあって(?)肝が据わってるというか動じないというか、家賃を何ヶ月も滞納してるのに指輪とか買ってテンションあげてるのに笑ってしまった。小学5年のときに松田優作にバレンタインチョコを送った話も好き。それと編集部で働いていたとき司馬遼太郎の清書係だったエピソードを通して、仕事に対する真摯な姿勢が伝わってきてちょっと涙ぐんでしまった。あとがきで今はパニック障害のような症状であると知り、びっくり。ご回復されますようお祈りします。