もうひとりの息子

とても久しぶりに映画を観に劇場へ行きました。フランス映画「もうひとりの息子」。

監督: ロレーヌ・レヴィ、原案:ノアム・フィトゥシ
出演者: ジュール・シトリュック(ヨセフ:イスラエル側の息子)、エマニュエル・ドゥヴォス(ヨセフの母)、パスカル・エルベ(ヨセフの父)、マハディ・ダハビ(ヤシン:パレスチナ側の息子)、アリーン・ウマリ(ヤシンの母)ハリファ・ナトゥール(ヤシンの父)

去年の東京国際映画祭で見逃して、都内で上映してるのも見逃して、やっと千葉で見られた。

イスラエルパレスチナ、占領する側とされる側で、言葉も宗教も経済状況も違う二人の子供が取り違えられていた事実を知り、それを受け入れ、自分で人生を選択する物語。

テーマは重いけれど、話運びも画面も爽やかだった。家族の愛情は血のつながりのみを担保にして交わされるものではないことがはっきり描かれていること、そして何より、取り違えられた息子たち二人が「自分が歩んだかもしれない相手の人生」を知ろう、お互いを理解しようと心を通わせて、ほんとに自然に仲良くなっていくのがとてもよかった。

個人を理解すれば、いままで問答無用に「敵」だと思っていた「国」という存在の輪郭がぼやけてくることが、二つの家族の変化を通してわかる。敵と味方、あちら側とこちら側、価値観が違う、言葉が通じないと二分して切り捨ててしまえばとても簡単で、あとはこちら側だけでぬくぬくと、あちら側をこき下ろして溜飲を下げればいい、というようなことはなにも戦争をしてなくとも、平和な環境であってもあるわけで、その「理解」の第一歩、手がかりはどこにあるんだろうか…なんてことを考えました。

ふたりの息子がイケメンなので、それだけでも一見の価値ありです(笑)ちなみにわたしはヤシン派です(聞いてない)