アルゴ

1979年11月にイランで起きたアメリカ大使館人質事件にまつわる映画。イラン革命で事実上亡命したパフレビー前国王を受け入れたアメリカへの抗議として、イランの学生たちが大使館を占拠、交渉が難航して444日間に渡り人質が拘束された。

その一方、6人の大使館職員は直前に逃げることができカナダ大使公邸で匿われていたのだが、その6人の出国作戦を映画にしたもの。Canadian Caper(カナディアン・ケイパー)で検索すると詳細があり、それはカナダが救出作戦をしたということですが、この映画だとアメリカCIAが実働していた事実があったということ。

きちんと「娯楽映画」として昇華していて、良くも悪くもアメリカ映画だと思いました。トルコでロケしたという大使館周辺や市場のシーンは当時の報道写真などを参考に、かなり忠実に再現してるところはよかったです。

気になったのは、イラン人たちのペルシャ語台詞をわざと字幕に起こしてない部分があること。たぶん登場人物たちが理解できない言葉による不安とか表しているのかもしれないけれど、訳してほしかった。だって、いかにも「イスラム=怖い」みたいな図式を強調してるような気がして…わたしがイラン贔屓目なのかもしれないが。

それとカナダ大使宅の現地メイドさんのその後がとても気になった。イラクへ出国するんだもん…彼女の人生そのあとどうなるの…流転じゃないか。それでもう1本映画できる。


わたしといえば、やはり思い浮かべるのはラミンのこと。1978年9月生まれの彼は生後2ヶ月でイランを出国。イタリアに渡り、その後、一家はカナダで国籍を取得するのですが、イランを出国した数ヶ月後にはイラン革命が始まり、たぶん80年から2年間は国境封鎖で出入国ができなくなるので、ご両親の先見の明というか、判断の的確さにはほんとうに感謝したい。そのタイミングを逃していたら、今頃わたしがラミンの歌声に聴き惚れることも、おそらくなかっただろう。

パフレビー国王は結局はアメリカの傀儡だったこと、その前のモサデク政権は欧米の策略により倒されたことなども勉強すると今のイランをもう少し理解できるかもと思い、それは今後の課題。

Patriot of Persia: Muhammad Mossadegh and a Very British Coup

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これ翻訳されないかなあと思っている。