小谷美紗子 日食なつこ @月見ル君想フ 8/13(木)

帰省先の会津からそのまま南青山のライブハウスへ…まるで遠征(笑)

  1. 街灯の下で
  2. 子供のような笑い声
  3. 正体
  4. 手紙
  5. 消えろ
  6. 新曲(1月のライブで初披露した、忘れ日和〜イエイっていうサビ)
  7. 新曲(初披露)

一曲目終わったあと「おぼん…」ひとこと発したあと沈黙。水飲む、タオル。「………」…2言目まで相変わらず長い。そのあと途切れ途切れの言葉を要約すると、お母様の誕生日が8月15日終戦記念日なので、誕生日を祝いつつ、終戦当時のことを想うことが多いと。「近頃は乱暴な法案が矢を射る勢いであるけど…」と安保法案についても言及した。
さかいゆう君の歌に、ひとを傷つけるくらいなら、自分が傷つけられるほうがいいという歌詞があって、そういう日本人でありたいと思います」と付け加え、『子供のような笑い声』を歌った。「あなたが望む平和みたいなものを残したい」「あきらめに似た悟りを開くのはやめて」「人の深さに弾丸を込めたりしないで」と、この時期に聞くと、言葉の切実さに胸が裂ける思いだ。

『正体』

前日にようやく歌詞が固まった新曲は、「この季節に歌っておきたかいから」と初披露。歌詞でサビの覚えてるところは…
僕と君の春の花、抱いて抱いて枯らしてしまった。ずっと前のことなのに摘みたてのように薫る。僕と君の夏の花、抱いて抱いて燃やしてしまった。ずっと前のことなのにまだ熱い。僕と君の冬の花、抱いて抱いて溶けてしまった。ずっと前のことなのにまだ冷たい。

新曲ができてる時期なのかなーと思ったので、来月の都内のライブはできればどちらも行きたいとチケットを取った。初披露の新曲は別れの歌で、近頃は大きなテーマや優しく包み込むような歌詞が増えていたので、別れテーマは久しぶり?かな、衝撃を受けた。「忘れ日和〜」のほうは刹那の幸せを寿ぐ感じで、ああ、この人の全曲に通底する無常観が好きだ。

2マンの日食なつこさんについては「ステージのきれいな月につられて(ライブハウスのステージ背景に大きな月が掲げられている)”月食さん”と呼びそうになる…」と(笑)「2マンをやってると、苦手なひともいるんですけど…日食さんは楽屋でも居心地よくて、また一緒にできたらいいな。ピアノ2台とか…」と好印象だったよう。

わたしは日食さんの存在自体を今回初めて知った。クーラーかけて昼寝してしまったら鼻声になってしまった…とおっしゃってたけれど、味のある声だし、何より歌詞がとても良かった。名前のせいなのか、空のモチーフが多くて、飛んでる俯瞰の景色、地面から見上げる雲や雨、草原を吹きわたる風などの大きな情景が見える。少し照れ隠しかと感じるほどハキハキと手際よく話していた。

第14回世界バレエフェスティバル  <プログラムB>  8/9(日)

バレエフェスBプロの感想です。1週間経ってしまったので、またもテンション低めの感想。

■第 1 部

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ
Aプロ最後のドンキで盛り上げた二人が、今度はトップバッターとして会場を温めた。  


「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ ウラジーミル・マラーホフ
小柄なサレンコでさえ「よいしょ」って感じのリフトであったマラーホフ…こういうのはもう年齢的にたいへんなのかなあ…。サレンコは美しく可愛らしく、シンデレラのキャラクターにぴったりだった。


「シナトラ組曲」より"ワン・フォー・マイ・ベイビー"
振付:トワイラ・サープ/音楽:フランク・シナトラ
イーゴリ・ゼレンスキー
背が高くて胸板が厚いので、スーツ姿がえらいこと似合う!!ただ切り取った部分だけでは面白味が伝わりにくく「世界バレエフェスティバル」でやるべき作品なのかは少し疑問。


ペール・ギュント
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:アルフレット・シュニトケ
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ
本編をまるっきり知らない作品ですが、全編見たくなった。相当暗そうで、精神的にダメージ受けそうではあるけれど。


「悲しみのエチュード」より 4つのダンス
振付マルセロ・ゴメス/音楽:フレデリック・ショパン
マルセロ・ゴメス
この日の朝にロンドンから日本に来て、そのまま昼公演とは…タフ!さすがに予定されていたヴィシニョーワとのデュエットは回避し、この日だけのソロ作品でした。1曲ごとに曲の本質をつかんだ表現というか、表情から指先、足先までコントロールされて、さすがだなあ…と感心した。


「ライモンダ」より 幻想のアダージオ
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ
Aプロの白鳥と同じく、男性のコルスツェフが黒子に徹していた。こんなに存在感消してるのもちょっと気の毒に思えてくるほど…でもそれだけサポートが完璧ということか。



■第 2 部

「眠れる森の美女」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ マチアス・エイマン
予定されていたパリオペラ座のミリアム・ウブド=ブラームが怪我のため、ウィーン国立バレエのリュドミラ・コノヴァロワがマチアスのパートナーになった。オーロラ姫というより女王もしくはリラという貫禄のある気品と美しさのコノヴァロワでした。マチアスは繊細でロマンチックな王子でしたわ…やはり彼の踊りは好きだ。

ノー・マンズ・ランド
振付:リアム・スカーレット/音楽:フランツ・リスト ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
戦地へ行ってしまった男と、帰らない男を待つ女のPDD。決して交わらない二人の視線。女は男の幻と踊ってるんだよね…。Aプロでのラブラブ、キラキラのコジョカルとコボーがこれを踊ると、さらにつらく悲しく、ボロボロ泣いてしまった。

「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ
二人ともテクニックも確かで、華もあるし、Aプロよりも魅力が伝わる作品だった。タチアナ・テレホワより贈られたというサラの衣装も美しかった。

ギリシャの踊り」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ミキス・テオドラキス
オスカー・シャコン
かっこいい!!アニミズム的振付と彼の容姿がぴったりで、すごくかっこよかった〜。

「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー
オーレリーの退団公演では叶わなかったエルヴェとのマノンが東京で見られる贅沢を存分に味わった。




■第 3 部
ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー
サレンコは演技力というところはまだまだなのかな…。マックレーはいつもの素晴らしいマックレーでした(Aプロと感想が同じ。不調というのがないのかな…と不思議なほど毎回クオリティーが高い演技)


「伝説」
振付:ジョン・クランコ/音楽:ヘンリク・ヴィエニャフスキ
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ
なんだろう…これは…?椿姫ダンサーたちがほかにもたくさんいるのになぜこの二人が踊ったのだろう…?という残念な気持ち。タマラ本人も感じていたのか、カーテンコールではさっさと奥へ引っ込んでいった。1階の後方席だったが、踊ってるときレンドルフのハアハアという息切れがそこまで聞こえてきて、ああ…やはりアルマンの振付ってタフだよなあ…たいへんだ…という労いの気持ち少し。

「レ・ブルジョワ
振付:ベン・ファン・コーウェンベルク /音楽:ジャック・ブレル
ダニール・シムキン
観客の心を掴むのがうまい。


「オールド・マン・アンド・ミー」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
Aプロと同じというのと、わたしにとっては退屈な作品なので、正直2回目はつらかった。



■第 4 部
「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス チェロ:遠藤真理、ハープ:田中資子
ウリヤーナ・ロパートキナ
人ではない存在感と踊りでした。すごかった。


「シルヴィア」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:レオ・ドリーブ
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ
時空を超えて再会した二人の、手が触れ合えば震えるほどの感情が伝わってきて、泣きに泣いた。


「椿姫」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー
ダンサーふたりは完璧であったのに、ピアノにミスタッチが多く不安定で悪い意味でドキドキしてしまった…とても惜しい。それでもノイマイヤーの複雑なリフト技が流れるように語られるとやはり感動する。

「こうもり」よりパ・ド・ドゥ
振付:ローラン・プティ/音楽:ヨハン・シュトラウス2世
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ 矢島まい[東京バレエ団]
この日はイザベル・ゲランにつきた!!とてもチャーミングだった!!もともと楽しい演目ではあるけれど、ガラで見て「続きが見たい!!!」と切望したのは初めて。ルグリも年齢を感じさせない!そして、これ!この品性と洒脱さだよーーこうもりに必要なものって!!と「正解」を見せつけられた感じ。盛り上がった!


ドン・キホーテ
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ
とにかくサービス精神旺盛でチャーミングな二人!!昨年のボリショイ来日ドンキでは怪我から復活したばかりでシェネに回避したマーシャが32回転をキメてくれて…ああ全快したんだなあ…と嬉しくて泣けました。カーテンコールでおでこにキスされたラントラートフが「え〜おでこなの?」と少し不満そうな表情でキスされたおでこを触って、その手を自分の口に持っていった(マーシャのキスを自分で口にもっていったということ)のがとても可愛かった。


指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス  
管弦楽東京フィルハーモニー交響楽団



   

ジョナサン・オリヴィエ

昨年のマシュー・ボーン白鳥の湖」来日公演でザ・スワン/ザ・ストレンジャーを演じたジョナサン・オリヴィエが現地時間の2015年8月9日(日)午前11時すぎにオートバイを運転中に事故に遭い、亡くなったそうです。事故のあったFarringdon Roadは、ジョナサンが出演中のTHE CAR MAN(この日は楽日でした)が上演されていたサドラーズウェルズ劇場のすぐ近く…出勤中の出来事のようです。そのためTHE CAR MANの最終公演はキャンセルされました。乗用車の運転手は危険運転致死の容疑で逮捕されたそうです。*1
*2

目覚めてすぐにチェックしたツイッターでこの悲しいニュースを知り、にわかに信じられない気持ちでした。ジョナサンと親交のあったダンサーたちがお悔やみをツイートするのを読むたびに涙がでて、昨年SDで撮ってもらったジョナサンの写真を見ては泣いて、ファンの方々がジョナサンとの思い出をツイートするたびに泣いて、一日茫然としたまま過ごしました。


ジョナサンのスワンの、高さのある跳躍に目を奪われたこと、今でもはっきり覚えています。飛んでいきそうだった…その姿はまさに大白鳥でした。そして大きな翼が見えそうなほどの雄弁な腕の動き…。プレビュー公演でのモナハン王子は若くて素直なプリンスで、繊細な思春期の少年のようだったので、ジョナサンスワンの父性を強く感じたことも。

またいつかカンパニーでの来日公演で踊る姿を見られると信じて疑ってなかったのに…本当になにが起こるかわからない…。

ご冥福をお祈りいたします。

第14回世界バレエフェスティバル<プログラムA> 8/5(水)

■第 1 部
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

トップバッターとして安定の二人。しかしなんというのか、2年前にアシュレイ・ボーダーの目が覚めるようなチャイパド見てるので、サレンコはテクニックもあるけど…うーん…せっかくアシュレイがいるのに…バランシン踊ってほしかったなあという気持ちが強かった。マックレーはいつもの素晴らしいマックレーでした。


「3 つのグノシエンヌ」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:エリック・サティ、ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー

初めて見た作品。幾何学模様のような、パズルのような、正しいところにカチカチと組み合わせていくことで構築されるダンス、振付。でも、見せ場みたいなものが薄く、ピアノが素敵ね…という印象で終わる。わたしの勉強不足が原因。



「お嬢さんとならず者」
振付:コンスタンティン・ボヤルスキー/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
アシュレイ・ボーダー イーゴリ・ゼレンスキー
これは言葉のないお芝居のようなダンス。ふたりの演技力が光りました。躾のされてない大型犬・ゼレンスキーが、人恋しいのにどう付き合えばいいのか分からないながら、調教師アシュレイに心開いていく話で(違うw)、乱暴に振る舞ってしまうけど、でも本当は尻尾ブンブン振ってるゼレンスキー犬。超可愛かった…。ゼレンスキーをかなり好きになりました。


白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ

超絶技巧のタマラだから…!という期待が大きかったのか、あまり調子もよくなさそうで、フェッテでも踵がついちゃったり…拍子抜け。それでも賢く妖艶な魅力的なオディールでした。レンドルフは小柄ながらバネがある筋肉で、テクニックも強い感じ。


「フェアウェル・ワルツ」
振付:パトリック・ド・バナ/音楽:フレデリック・ショパン、ウラジーミル・マルティノフ(録音音源)
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ

何と言ってもイザベルゲランの美しさがこの作品の最大のポイント。12年のブランクを感じさせない!アレッサンドラ・フェッリも50歳を過ぎて舞台復帰してるけど、もともとが美しい人は年齢を重ねても美しいんだな…と世の真理を悟ってしまって…わたしは遠い目になりました(笑)ルグリも上品なエロスがあって、大人の情感ある切ない作品でした。




■第 2 部
「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン、ピアノ:レデリック・ヴァイセ=クニッテル
アマンディーヌ・アルビッソン マチュー・ガニオ

見目麗しい。昨年夏のエトワールガラに比べると、二人はしっくり踊れてるような気がした。アマンディーヌは個性を前面に押し出す感じでもなく、きれいな人なんだけどわたしのなかで印象が定まらない不思議な人だ。



「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

素晴らしかった!2年前のガラで見たときは録音音源だったのですが、今回はオケでしたので、さらにパワーを感じて、胸打たれました。はあ…ため息がでる演技とはこれのこと。


「ジゼル」
振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー/音楽:アドルフ・アダン
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

来年のロイヤルバレエ来日公演でもこの組み合わせの「ジゼル」があるかな?と期待される二人。サラの暗闇に浮かぶ儚げな美しさが幽玄の世界でした。



「ライモンダ」より第 3 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(プティパに基づく)/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ
とにかく二人がラブラブで(笑)もお、かわいくてしょうがない!コジョカル&コボー夫妻もそうですが、パートナーシップは舞台に如実に反映されるなあと思います。





■第 3 部
失われた純情 「いにしえの祭り」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:リヒャルト・シュトラウス
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ 
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ
素晴らしい。アッツォーニとリアブコ夫妻も強固なパートナーシップで、ひとりひとりも素晴らしい表現力のダンサーであるのに、二人で踊り始めると、息を呑むドラマが展開するというか…圧倒される。しかも、見るたび毎回!



「シンデレラ」
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー
コジョカルが激甘い雰囲気で、もうキラキラキラキラしていた!妖精?妖精なのかな…。


「オールド・マン・アンド・ミー」
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト(録音音源)
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
コメディタッチな前半とシリアスな後半。正直、後半は照明が消えるたびに(演出)終わるのを待ってしまうほど長く感じてしまって…


「パリの炎」
振付:ワシリー・ワイノーネン/音楽:ボリス・アサフィエフ
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン
正統派パリの炎という感じ。テクニックを過剰に強調しないのに、盛り上げるところはしっかり盛り上げる。シムキンくんを初めて見ましたが、観客の心を掴むのがうまいなあ。



■第 4 部
白鳥の湖」第 2 幕より
振付:レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ
やはりわたしには「白鳥」の2幕は退屈。男性にまったく目がいかないような、強烈な個性をもったロパートキナ、マリインスキーの来日公演「白鳥」は彼女の出演日はチケット完売しているので、ここで見られてラッキーという気持ちです。


「トゥギャザー・アローン」
振付:バンジャマン・ミルピエ/音楽:フィリップ・グラス、ピアノ:レデリック・ヴァイセ=クニッテル
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー
デニムに白Tシャツ、タンクトップでも見目麗しい。作品については残念ながらあまり記憶に残っていない。。


「オネーギン」より第 1 幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル
11月に来日するシュツットガルトの組み合わせ。この二人ではない公演日のチケットを買ったので、「ここで見られてラッキー」再び。


ドン・キホーテ
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ
最後に大盛り上がり。女性のヴァルデスは美しく華もあるし、テクニックも秀でていて、これからまた違う公演で見る機会があればいいなと思いました。


感想を書くまでに数日あけてしまったので記憶が曖昧になり、テンション低くなってしまった…。見た直後の興奮交じりのほうが楽しい感想になったのになあ。

初めてのバレエフェスは、世界中のトップクラスのスターダンサーをいっぺんに見られる贅沢にクラクラしました。とくに第2部のパリオペ、パリオペ、ロイヤル、ボリショイの現役プリンシパルダンサー連打には、「こんなことが現実のことであるとは…」と信じられない気持ちになって泣きました(笑)本当に楽しかったです。
主催のNBSツイッターYouTubeチャンネルにはダンサーからのメッセージやカーテンコールが紹介されてるのもうれしいです。

京都バレエ団特別公演「ロミオとジュリエット」@ゆうぽうとホール

再構成・演出・振付:ファブリス・ブルジョワパリオペラ座バレエ団メートルド・バレエ)
ロミオ:カール・パケット、ジュリエット:エロイーズ・ブルドン、キャピュレット卿:シリル・アタナソフ、キャピュレット夫人:モニク・ルディエール、パリス:クリストフ・デュケンヌ、ティボルト:アルチュール・アラール(昨年末だったか、ピエール=アルチュール・ラヴォーから改名)、マキューシオ:アクセル・イーボ、ベンヴォーリオ:ヤニック・ヴィトンクール、ロラン修道僧:安達哲治、乳母:本田恵子、ロザライン:藤川雅子、マキューシオ友人:奥村康祐、西岡憲吾、鷲尾佳凛
指揮:江原功、演奏:ロイヤルチェンバーオーケストラ


パリオペラ座の現役ダンサーと元ダンサー8人が客演、そのなかにはパリオペの一時代を築きあげたモニク・ルディエールもいる!というので、世界バレエフェス開催年で何かと出費がかさむ8月ですが真っ先にチケット取りました。しかもわたしの好きなカールさんがロミオ役!フランスだったら年齢的にももうロミオは見られないかもしれない…という貴重な公演です。ジュリエットはスジェながら昨シーズンは白鳥デビューも果たし、活躍目覚ましいエロイーズ・ブルドン。手脚が長くてしなやか、そしてとても美しい華やかな顔立ちなので、ジュリエットにぴったりなのは想像に難くなく、この日を楽しみにしていました。


まず劇場に入るとバラやユリなど公演のお祝いで贈られてきた花の香りでホワイエが満たされており、それだけでもうっとりでしたが、なんとアコーディオンによるシャンソンの生演奏がされていました。これは非日常へ誘う演出で、これから見る舞台への期待が高まります。演奏していたのはミッシェル・グラスコさん、この夏シャンソン大使としてアリアンス・フランコフォンと日仏シャンソン協会主催のツアーをしてるのだそうです。


全三幕で演じられることが多い「ロミオとジュリエット」ですが、今回のブルジョワ版はプロローグ付の全二幕でした。


プロローグはキャピュレット卿の書斎で、ジュリエットのドレスが掛けられたトルソーを悲痛な面持ちで眺めつつ、回想録を記しています。この書斎はエピローグでも登場し、やはりキャピュレット卿が嘆き悲しんでいます。これにより、このブルジョワ版は若い二人の電光石火の愛の顛末であるとともに、娘に結婚を無理強いした父による悔恨の物語でもあるのだと理解できます。これを家長父制への懐疑と見れば、ジェンダー的にとても現代的な解釈だと感じました。

それ以外の全体の印象としては、パリオペのヌレエフ版をベースにして、あの複雑なパや長めの男性ソロなどの演出を整備し、わかりやすくなっていました。バレエ団への難易度の考慮はされてるのだと思います。


冒頭の広場、ロミオはロザラインに夢中で、猛烈にアタックするものの箸にも棒にも引っ掛からない。そんなつれない態度を気にする様子もみせず友人たちには臆面もなく「ロザラインが大好きなんだよ〜♡」とマイムすると、その投げキッスを受け取ったマキューシオがくらくら〜と眩暈をしながら倒れてみせる(笑)マキューシオは終始おちゃらけて、ソロなど見せ場が多くありました。演じたイーボがとても愛嬌がある演技と、確かな技術で舞台を盛り上げてました。


ロミオは舞踏会でもロザラインばかり見て、ジュリエットには背を向け、全くその存在に気づいてない。でもパリスと踊ってるジュリエットはロミオに目をとめ、「あの人は誰だろう?」と気にしてる。キャピュレット卿は武闘派なのか?剣を振り回しながらの舞(ヌレエフ版にも剣舞あり)、マキューシオが舞踏会を盛り上げ、ようやくロミオはジュリエットと目と目があう。そして、その瞬間に恋に落ちるのだった。あんなにロザラインに夢中だったのに!!(笑)

惚れっぽいロミオが友人たちをまえに「なんて美しい人なんだ!」というマイムをするたび、マキューシオは「ハイハイ」「いつものか」という態度(笑)いやほんとに、呆れますよ…ロミオめ…。

ヌレエフ版でもそうですが、ジュリエットがロミオをモンタギュー家の人だと判断するのに、ロミオが変装で着ていた赤い上着をベリっと脱がせる(胸のところまではだけさせる)の、14歳の少女のやることにしては大胆すぎませんか…なぜ仮面を剥ぐとかじゃないの…。

マクミラン版だとロミオとジュリエットが出会うシーンは、「世界は二人だけ」という感じに周囲の人がまったく見えなくなる演出がされているけれど、今回のは惹かれ合うロミオとジュリエットに嫉妬の火をメラメラ燃やすティボルトが、その心象風景をソロで表現するあいだ、主役の二人が周囲と同様に動きを止めモブと化すという、とても珍しい演出がなされていました。ティボルトはジュリエットが好きだったのかな〜。


バルコニーシーンは、ブルドンの若さと美しさが煌めいて、ま、まぶしい!!という感じでした。カールさんはさすがの安定感で、落ち着き払ったお兄さんという感じ。素の誠実な感じが見えるというか(笑)


二幕、マキューシオの死に方はお見事でした。おどけてみせたり、平気なふりをしてみたり、でも最期には剣をロミオに託して「仇を討て」と言うかのような絶命しました。マキューシオの死を認識したときのロミオの目が怒りでキラリとし、闘争本能に火がつくというか、一瞬で人格が変わったかのようにティボルトに襲いかかっていくのが、とても格好良かったです。わたしはカールさんを、チャラチャラしたプレイボーイや温和な役どころでしか見たことがないので、おお…こういう表情をするのか…と新鮮でした。

ティボルトの死ではヌレエフ版のようにキャピュレット夫人とジュリエットは嘆かず。夫人は大公に「逮捕してください」というような訴えのみ。たまにある演出のように、二人に男女の関係を感じることはありませんでした。


ロミジュリのベッドシーン、まあ…刹那とわかっている幸福というものはなんて美しいんでしょうね!ブルドンは一幕初めから無邪気な少女という役作りではなく、精神的に自立したジュリエットという印象があったので、ここで成熟した雰囲気へすんなり移行していきました。そのあとの結婚を無理強いする両親への激しい抵抗も切々としていて、胸打つものがありました。自由を奪われたらわたしの魂が死んでしまう…!という激情と脆さを感じ、この物語のいちばん根底にあるテーマはこれ、魂の自由だろうと思いました。


墓場シーンでは殺されるためだけに登場するパリスですが…デュケンヌをまた東京で見られてうれしかったです。相変わらずエレガントな佇まい。すこしだけソロもありました。(出番はあるわりにソロなど見せ場がなかったベンヴォーリオのビトンクールにも、もう少し踊ってほしかったなあ…と思います)


主役ふたりの絶命シーンはわりとあっさりという感じでしたが、エピローグで父の後悔が表現されるので、二人が命を絶たねばならなかった因果に思いを馳せる余韻が残り、よい幕切れだったと思います。


とにかくキャストが豪華で、演奏もよかったですし、たいへん楽しかったです。何もない年だったら来週のびわ湖ホールにも行っちゃうところでした、あぶなかった(笑)

梅雨明け

たった1週間で真夏になりました。いつもの「猛暑日」、冷房も大活躍です。朝涼しいうちに設定温度高めにつけておくと、一日快適に過ごせるので、今日などは夫とともに二度寝昼寝天国で、餃子を作って食べる以外のことをまったくしませんでした。


先週末はリフレッシュ休暇中(それまで数か月ほとんど休みなく働いていた)の夫と草津温泉へ行きました。13時頃に到着、ホテルに荷物を預けて湯畑周辺の温泉街を散策し、初めての草津、憧れの草津を堪能しました。宿から見える山々の稜線もすばらしくて、あぁ山育ちは関東平野の山のない風景に知らず知らずのうちに精神を削られているのだわ…。草津はとても有名で人気の温泉地なので、首都圏からもっと近いのかと思ったら、案外遠くて驚きましたが、また行きたいです。



Because I am a Girl――わたしは女の子だから

Because I am a Girl――わたしは女の子だから

映画「ティンブクトゥ」などで抑圧されてる女性を見ていたら、この本のなかの女の子たちを思い出して再読。



おっぱいとトラクター (集英社文庫)

おっぱいとトラクター (集英社文庫)

ウクライナの近代史とトラクターのことと、イギリスの離婚のことがわかる本と言えばいいのか。ドタバタコメディと戦争を生き抜いた両親の人生とがブレンドされた小説。


女装して、一年間暮らしてみました。

女装して、一年間暮らしてみました。

異性愛で、かつそれまで女性の格好をしたことがない男性が、自身の男性性から解放されるために女装して生活し、性別とは何かを考察した本。ドイツのテレビのプロデューサーとして活躍していた方だそう。表紙カバーをはがすと「女性」だったときの写真で、美しいです。

梅雨冷え

今日は家から一歩も外に出なかった。そればかりか昼から暗くなる19時ころまで寝ていた。先週引いた風邪がまだ居座っていて、咳が止まらなかったり、微熱が続いている。ここ数カ月ずっと外出続きだったので、今月はしっかり養生しよう。ひと月に映画を24本見たりしない。何事も適量というのがある。

暑いのがとても苦手なので、今年の夏は過ごしやすくて助かっている。せっかくエアコンを掃除してもらったのに活躍できずにいるものの、使わないで済むならそれにこしたことはない。今日など肌寒いので、靴下を履いてカーディガンを着て毛布にくるまって過ごしていた。本当に7月…?ここまで気温が上がらないと野菜とかお米に影響があるのかなあ…それはちょっと心配なことだ。

BBC文芸ドラマ『ミス・アンの秘密の日記』を買った。19世紀のイギリスに実在したアン・リスターの半生を描いたドラマ。彼女の遺した日記は400万語の暗号で書かれており、死後150年経ってから解読されたという。同性愛者のアンは伯父と叔母と暮らし、表向きは独身を通し、将来は恋人であるマリアナと一緒に暮らして行こうと決めている。しかしマリアナは資産家の老人と政略結婚をし…という始まり。

アン・リスター役のマキシン・ピークがかっこいい〜。恋人が結婚してしまってからアンは喪服のような黒いドレスしか着ないのだけど、後半はシルクハットやタイなど男装風(でも下はスカート)で、これがまた似合う。マキシン・ピークは舞台で「ハムレット」をやったことがあり、そのときの写真が金髪ショートの「美青年」で、すばらしくかっこいいです。恋人役アンナ・マデリーもとても美しく眼福であった。

ミス・アンの秘密の日記 BBC文芸ドラマ [DVD]

ミス・アンの秘密の日記 BBC文芸ドラマ [DVD]



同シリーズで『恋する女たち』も買いました。これはローリー・キニアさんが出演しているから買ったのですが、主人公である姉妹二人があまり魅力的に見えないので、2枚組の1枚目でちょっと挫折しそうになってる…。その姉妹と結婚する男性二人(ひとりはキニアさん)は良いので、2枚目はきっと面白くなるはず…と期待して見届けます。